2017年6月22日 第25号

 カナダラジオテレビ電気通信委員会(CRTC)は15日、ワイヤレスに関する規約の変更を発表。携帯電話プロバイダーによる電話機のロック解除(アンロック)料徴収の禁止を盛り込んだ。

 携帯電話機のアンロックとは、国内大手携帯電話プロバイダーのロジャーズやテラス、ベルで携帯電話機を契約した時に電話機自体にかけられている制限(ロック)を解除すること。通常、大手プロバイダーで一定期間(ほとんどは2年間)契約した電話機にはロックがかけられ、他のプロバイダーのSIMカードを使用できないようになっている。しかし、海外で、その国のSIMカードを使用したり、プロバイダーを変更したい場合は、アンロックする必要がある。これまではプロバイダーがアンロック料を徴収。多くの場合、アンロック料は50ドルに設定されている。

 しかしこのアンロック料は、消費者の間では、携帯会社変更を躊躇させる「人質料」と悪評だった。今回、CRTCは、このアンロック料を廃止するよう新規約で定めている。さらに新規で携帯契約する場合はアンロック状態で契約することも定めている。今年12月1日から実施される。

 カナダの携帯電話料金は世界でも最も高いとされている。そのため、連邦政府やCRTCは、規制緩和策などを打ち出していた。2013年に設定された規約では、3年契約を廃止としたが、これにより2年契約にはなったものの、ひと月の支払い料金が高くなり、消費者にとっては契約料が下がるという希望とは程遠かった。

 CRTCは今回の規約改定に際し、今年初めに消費者から携帯電話に関する要望を受け付けた。その中で、アンロック料については不満が多く寄せられたという。CRTCによれば、2016年大手プロバイダーのアンロック料の総額3770万ドルだったと報告している。

 しかし今回の規約で消費者に選択の自由が与えられたことになり、より競争力が高まると期待されている。

 これ以外にも、ファミリープランやシェアプランの契約者のみが、データ超過利用やローミング追加を承認することや、国際ローミング料上限をひと月100ドルとすることなどが盛り込まれ、消費者に配慮した内容となっている。これにより、家族、特に子供が知らずにゲームなどでデータを多量使用し、多額の使用料を請求されることを防ぐことができるとしている。

 今回の改定について、イノベーション・科学・経済開発省ナヴディープ・ベインズ大臣は歓迎する声明を発表。競争力を高め、消費者にとっては価格が下がることが期待されると語っている。

 

 

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