2017年6月1日 第22号
ブリティッシュ・コロンビア州クリスティ・クラーク州首相は5月30日、記者会見を行い、州首相として議会を招集すると語った。
BC州は5月24日にBC選挙管理委員会が発表した9日の州議会議員選挙の最終集計の結果、87議席中43議席を獲得した自由党が少数派政権として続投することが決まった。
しかし、41議席の新民主党(NDP)が、3議席のグリーン党と主要政策で協力することを同日に発表。これにより、クラーク内閣の不信任の可能性が高くなり、16年ぶりのNDP政権誕生へ大きく舵を切ることになった。
クラーク州首相は記者会見で「最大議席数を獲得した党として少数派政権で近いうちに議会を開く」と述べた。その上で、「今日のNDPとグリーン党の合意で、不信任になることは確実だと思う」と述べ、野党となっても党首としてやっていくと語った。
NDPとグリーン党の合意署名を受け、記者会見前のクラーク州首相には2つの選択肢があった。ひとつは、不信任を覚悟で少数派政権として議会を再開する、もう一つは、不信任がほぼ確定していることを受け議会を開かずに辞任を表明する。
記者会見でクラーク州首相が少数派政権での議会再開を選択すると発表したことで、今後のBC州政治は、自由党政権不信任、NDP・グリーン政権誕生という流れとなる。 まずは6月中にクラーク州首相が議会を招集する。議会初日には自由党政権がまとめた議会開会の式辞をBC州副総督が読み上げる。
議会は式辞を採決。NDP41とグリーン3の反対が予想されるため、反対が44となり、賛成の自由党43を上回り、これが不信任を意味する。これを受け、クラーク州首相は副総督に、不信任を受けたため政権を継続できないと報告。この後は副総督の判断となる。
副総督の選択肢は2つ。議会を解散し再選挙をする。もう一つは、NDP・グリーンに政権を委託する。NDPは副総督にグリーン党の協力を理由にNDPに政権の機会を与えてくれるよう要請する。
クラーク州首相は議会解散による再選挙を希望しないと記者会見で語っているため、副総督が再選挙を指示する可能性は低く、事実上NDP・グリーン政権が誕生することになる。
ただNDP・グリーンで44議席の過半数とはいえ、グリーン党は連立を組まないため、実質的にはNDPの少数派政権となる。
選挙最終結果から1週間、1953年以来となる少数派政権誕生は、16年間続いた自由党政権に終止符を打つこととなる。しかし議席数の差はわずか1。今後もBC州政治の行方が注目される。