2017年5月18日 第20号

 エアカナダのフライトに搭乗寸前だった乗客が13日、手続きの不手際から搭乗を拒否された。先に機内に入っていたガールフレンドは、そのまま目的地に到着。残された本人はさらに、別の空港で一夜を寂しく過ごす羽目になってしまった。

 この乗客は、サスカチワン州サスカツーン市在住のキンヤン・リウさん。ガールフレンドとともにマニトバ州ウィニペグ市の友人を訪問したのち、この日の便でサスカツーン市に戻るはずだった。

 ところが搭乗ゲートから飛行機に乗り込もうという段になって、リウさんの身分確認に問題があるとして、エアカナダの職員からストップをかけられた。この時点で、ガールフレンドと2人の荷物はすでに機内に。しばらくして身分確認は問題ないことが確認できたのだが、今度は飛行機がすでに満席になり、リウさんは搭乗できないと告げられた。

 職員はリウさんに対し、サスカツーンに戻るには、これからアルバータ州カルガリー行きの便に乗り、翌日のサスカツーン行きを利用するしかないと告げた。ウィニペグからサスカツーンを通り越し、ほぼ倍の距離を飛んでカルガリーに到着したリウさんは、そこで一人でホテルに宿泊。

 この事態に対し、エアカナダはホテル代を払うことも、最初のフライトから降ろされたことに対する補償も何もしなかった。この「人生で最悪の経験」をさせられたリウさんは、自分はすっかり混乱してしまい、落ち込んでしまったと、カルガリーのホテルから電話でメディアに訴えた。精神的なダメージに対する補償を、エアカナダに求めているという。

 カナダ交通省は、搭乗を拒否した乗客に対して航空会社は、200ドル〜800ドルの現金を補償するよう求めている。しかし今回の場合、搭乗拒否に対する補償はないだろうとリウさん。エアカナダは乗客に対し、空港には90分前に到着するよう求めているのに対し、彼がウィニペグ空港についたのは60分前だったからだ。

 リウさんはエアカナダとのツイッター上での会話を、メディアを通じて公開している。それによると、航空会社もカップルが同じ便に乗れるように便宜を図ろうとしなかったことは、異常だと認めており、社内調査の開始を示唆していた。

 またエアカナダは14日にコメントを発表し、リウさんからの苦情を真摯に受け止める姿勢を示したが、補償が行われるかどうかには言及しなかった。

 

 

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