2017年5月11日 第19号

 オンタリオ州のカトリック教系小学校で予定されていた演劇が、性別の転換といった内容を含んでいて児童にはふさわしくないという理由から、上演が中止された。

 この決定を下したのは、同州ナイアガラ・カトリック教区教育委員会に属する5つの小学校。保護者らがフェイスブック上で演劇の内容を強く非難したことが、その始まりだったと、この演劇を企画した劇団カルーセル・プレーヤーズの芸術監督ジェシカ・カーマイケルさんは取材に説明している。また彼女によると、中止の決定は上演まで48時間を切った段階で突然なされ、また納得のいく説明も公になされていないと、公開質問状で問いただしている。

 またカーマイケルさんは、中止の決定は誤った情報に基づいたものであるか、性的少数者や女性に対する嫌悪感、不寛容などに起因しているのではと、懸念を表している。

 予定されていた子供向けの劇『男子、女子、そして神話上の創造物(Boys, Girls and Other Mythological Creatures)』は、サイモン、アビー、ザックの3人組が不安や変化に対峙しながら学んでいくというストーリー。特にサイモンは、途中からシモーヌという王妃に変化する。

 脚本を書いたマーク・クロウフォードさんによると、この劇の主旨は、真の自分の姿を表すことへのためらいを克服することだと語り、今回の上演中止の決定は、子供たちが芸術や幅広い知識に触れる機会を制限するもので、ショックを受けていると、同劇団のウェブサイトでコメントしている。さらに彼は、ごく一部の大人の偏見と差別、嫌悪感が今回の決定の原動力となったことに不安を感じていると付け加えている。

 教育委員会のフェイスブックには、生徒の年齢にはふさわしくない内容と判断したことが中止の理由との説明がなされているが、この劇の対象年齢は6歳から10歳に指定されている。

 

 

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