2017年5月4日 第18号

 オンタリオ州ウィトビーにに住むケリー・タグネットさんには、がんと闘っている5歳の息子ジャクソン君がいる。彼が患っているのは、進行性のがんで、すでに膀胱と前立腺を摘出している。そんな彼の治療費をなんとか工面しているタグネットさんだが、「必要なおむつを買うお金にも困る」ほど、経済的苦境に立たされている。

 おのずと、市中の金融機関から給料日前に借金をすることも多くなる。そしてある日、その金融会社から彼女のもとに電話がかかってきた。ちょうど返済期限の1日前のことだったので、タグネットさんは最悪の状況しか思い浮かばなかった。

 いざ窓口に出向いてみると、そこには彼女の息子へのプレゼント―野球チームのトロント・ブルージェーズのシャツに帽子のほか、バット、ボールなど―が詰め込まれたバスケットが用意されていた。以前タグネットさんは、ここの従業員に、ジャクソン君のことや彼がトロント・ブルージェーズの大ファンであること、地元チャリティ・グループのおかげで、その試合を見にいけることになり、それを楽しみにしていることなどを雑談のついでに話したことがあったのだが、それを覚えてくれていたのだ。

 バスケットの中にはさらに、生活費に足しになるようにとギフトカードも添えられていた。まったく予期していなかった展開に、思わず泣き崩れてしまったタグネットさん。メディアの取材に対し、世の中には、こんなにいい人たちがいることを実感している。小さな心遣いだったのかもしれないが、それが人の人生を大きく変えられることを伝えたいと、語っていた。

 

 

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