2017年4月27日 第17号

 アメリカ商務省は24日夜、カナダから輸入される製材・木材に相殺関税を導入すると発表した。早ければ来週にも実施される。

 関税は、ほとんどの企業が19・88パーセントで、例外として5社が3・02パーセントから24・12パーセントの幅で課せられる。

 アメリカ側は、カナダの企業は政府管轄内の敷地から木材を伐採しているため、安価で販売ができ、アメリカ企業にとっては不公平な仕組みになっていると主張。最も課税率が低い企業は、民間の敷地からの切り出しのためと説明している。

 今回のアメリカの発表にカナダ政府は、ジム・カー天然資源相とクリスティア・フリーランド外相が連名で即座に声明を発表。カナダ政府として米商務省の不公平で懲罰的な関税導入の決定には強く反対するとし、アメリカの主張は根拠がないと批判した。

 米加間の製材・木材貿易紛争は30年以上続いている。合意期限が切れるたびに論争が起きるが、これまではそのたびに合意に至っていた。前回合意は昨年10月にすでに期限切れとなっていた。

 アメリカに製材・木材を輸出している州の州政府は記者会見を開き、正当性を主張した。輸出量が多いブリティッシュ・コロンビア州ではクリスティ・クラーク州首相が選挙戦中の25日急きょ記者会見を開き、BC州政府は同産業のために共に戦うと語った。

 アルバータ、オンタリオ、ケベック、東海岸州などBC州以外では、製材・木材はほぼ100パーセント、アメリカへの輸出で成り立っている。BC州だけはアジア市場への輸出が約50パーセントと市場の多角化に成功している。

 首相事務所は25日、ジャスティン・トルドー首相は関係各州首相と連絡を取り、共に取り組むことを確認したと発表した。

 前週の酪農産業に続き、カナダとの貿易摩擦を助長するトランプ政権の政策に、カナダでは対応に追われている。

 

 

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