2017年4月20日 第16号

 ブリティッシュ・コロンビア州リッチモンド市で、多くの患者を診察してきたウォーク・イン・クリニックが閉鎖に追い込まれた。

 このクリニックは、同市No・1通りとフランシス通りの角にあるシーフェア・ショッピング・センター内の、シーフェア・メディカル・センター。閉鎖に追い込まれた理由は、勤務医不足。

 このクリニックを25年前にオープンさせた共同経営者のひとり、ジーナ・ピンクハフィックさんは、BC州全体で深刻な医師不足が起こっていると指摘する。また、この事態に対する、BC州医師及び外科医学校(College of Physicians and Surgeons of BC)の対応にも不満を募らせている。同校は、まだ働く意欲のある医師であっても、年齢が上がると執拗にリタイアを迫っているとピンクハフィックさん。

 彼女のウォーク・イン・クリニックに勤務していた常勤医師は、たった1人だった。ほかに3人の非常勤医師がいたが、常勤医師がリタイアしたほか、非常勤のひとりもほぼリタイア状態、他の医師も転職したり、他のクリニックとの掛け持ち状態だったため、3月31日にやむなく閉鎖となった。

 このクリニックで診てきた患者数は何万人にも及ぶとピンクハフィックさん。閉鎖の時点でも、数千人分のカルテが残っていたといい、そのほとんどは新しいホームドクターを見つけられずにいる。またBC州ウォーク・イン・クリニック協会によれば、そのような人の数は同州全体では約30万人に上るという。

 同協会ケローナ地区会長のマイク・マクローリンさんによれば、州政府の政策も、特にウォーク・イン・クリニックの医師不足を招いていると指摘。州政府は、ウォーク・イン・クリニックへ支払う報酬を抑えるため、勤務医1人当たりの1日の患者数の上限を設定している。それを超えた分の診療報酬は50パーセントから100パーセント減額される。

 この状況を改善するために、ホームドクターへの公正な支払いや十分な採用、訓練を行うよう、政府に求めていく動きも広がっているという。

 

 

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