2017年4月6日 第14号

 ニューファンドランド・ラブラドール州のニューファンドランド島西端部、州都のセント・ジョンズ近くの海岸で、流氷に閉じ込められたイルカやクジラが相次いで死亡した。

 場所はベル島の入り江。4月1日午後には少なくとも11頭のハナジロカマイルカ(whitebeakeddolphin)が、流氷に覆われた入り江に閉じ込められたのを住人が確認した。なんとか海水面が開けたところへ移送しようと、住人25人あまりが吹雪の中、イルカを捕獲用ストレッチャーに乗せ、それをトラックで海水面にアクセスできる場所まで搬送し、海に返す作業をくり返した。

 その結果、5頭を無事に解放することができたが、残されたイルカの生存は危ういとみられている。

 ベル島・ワバナ町のゲーリー・ゴシン町長は、今年は例年になく厚い氷が島を取り囲み、フェリーによる物流も遅れがちになっていると、取材に答えている。また、このような状況は7年ぶりとのことだが、イルカが閉じ込められるという事態は初めてだとも話している。

 また同州西部の町オールド・パーリカン近くでは、3月31日にザトウクジラが、やはり流氷に閉じ込められた。同州のクジラ救助団体(WhaleRelease and Strandings)が救出を試みたものの、取り囲む氷が厚すぎ、砕氷船による脱出路の確保ができなかった。

 体長およそ14メートルの、このクジラは、その呼吸音から呼吸器系に支障をきたしているようにみられた上、付近の氷は大量の出血により赤く染まっていた。

 同地方は週末から3日にかけてふぶき模様の天気で、救助を試みた人はクジラに近づくことも、ままならなかった。3日未明にはクジラのまわりの氷は押し流されてなくなったものの、クジラは、その場にとどまっていたという。おそらく打ち上げられた浅瀬から移動するだけの体力が残っていなかったのではと、同町ではみている。またクジラは、いかにも困難に陥ったかのような不気味な音を出していたという。それは心に突き刺さる、赤ん坊のすすり泣きのように聞こえたと、町職員は形容している。

 結局、このクジラは死亡が確認された。

 

 

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