2017年2月23日 第8号

 8日午後、トロント空港からニューファンドランド・ラブラドール州のセント・ジョンに向かっていたエアカナダ694便は、目的地が悪天候だったため、ニューブランズウィック州フレデリクトン空港にバイバート(目的地変更)せざるを得なかった。

 同空港に着いたのは、午後8時30分過ぎ。ここで目的地の天候の回復を待つことになった乗客だが、再び離陸できるのが何時になるのかはわからない状態だった。しかしエアカナダの地上係員は、この時間では食事を用意することは不可能だと、乗客にアナウンスしただけだった。

 ところが、そこに現れたウェストジェットの機長が、自分はウェストジェットのパイロットだが、私たちには別のやり方がある。ピザを食べたい人はいるか、と乗客に問いかけた。

 この一幕について、9日にメディアの取材を受けた乗客のひとりジョン・サムスさんは、すぐそばにエアカナダの職員もいたし、なんとも気まずい雰囲気の中、険悪な状態になるのではと心配したと話している。

 ところが、実際は居合わせた人みんながウェストジェットの機長の行動に感謝し、賛辞を送っていたという。サムスさんによれば、4〜5枚のピザが注文された。ピザがこれほどありがたく見えたことは、人生の中で一度もなかったとサムスさん。一方エアカナダの職員も負けじと、10ドルの商品券を乗客に提供したものの、その時間ではそれを使えるような店は開いていなかった。

 メディアの取材依頼に対し、ウェストジェットはコメントを差し控えている。エアカナダは、天候悪化による直前になっての目的地変更で迷惑をかけたことを謝罪するとともに、他航空会社のパイロットの、状況を思いやる行動に感謝している、直接本人とも話をし、その対応への謝意を伝えたと付け加えていた。

 エアカナダ694便が再びセント・ジョンに向けてフレデリクトン空港を離陸したのは、日付が変わった9日午前1時半過ぎだった。

 

 

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