2017年1月19日 第3号

 アメリカ・フロリダ州フォートローダーデール・ハリウッド国際空港ターミナルで1月6日起きた、銃乱射事件に巻き込まれた際にぬいぐるみを失い、落ち込んでいた少女のもとに、4日ぶりにぬいぐるみが帰ってきた。

 この少女は、オンタリオ州ウィンザーに住むクートニー・ジェリナスちゃん(10歳)。クートニーちゃんは、家族とともにカリブ海のクルーズから自宅に戻るため、この空港でデトロイト行きの便を待っていた。

 彼らがいたのは搭乗ゲートの近くだったが、事件が起こった手荷物受け取り場の方から人が津波のように押し寄せて来るのを見て危険を感じ、ボーディングブリッジを通り抜け駐機場へと避難した。約1時間後にはターミナルビルに戻ることが許可されたが、他にも銃撃犯がいるとのうわさから、出口へ人が殺到する事態となった。

 群集とは行動を共にしないほうが安全だろうという判断から、彼らは空港のまわりにはり巡らされたフェンス沿いを歩き始め、見つけた裂け目をくぐり抜けレンタカー事務所にたどり着いた。

 この脱出劇の最中に、クートニーちゃんは祖父からもらった茶色いテディベアのぬいぐるみを失くしてしまった。それは約10年前のことだったが、このぬいぐるみにルーファスと名付けた祖父は、その後間もなく他界した。以来クートニーちゃんは、片時もルーファスを手放すことはなかった。

 それほど大事にしていたぬいぐるみを失ったショックからクートニーちゃんは取り乱し、悲しみに明け暮れ、食事も喉を通らず眠れない状態が続いていた。

 いたたまれなくなった母親のキム・ラリビエルさんは、空港の遺失物係に何度も電話したり、9日にはツイッターにこのぬいぐるみの写真を載せたりして、探し出そうと懸命になっていた。地元のブロワード郡保安官事務所もこのツイートをシェアし、情報提供を呼びかけた。

 そのかいあって、10日朝に空港職員が格納庫の中でルーファスを発見、このニュースをツイートした。4日ぶりにルーファスを抱きしめたクートニーちゃんは、とってもうれしい、見つけてくれてありがとうと、喜びをかみしめていた。

 ルーファスは無事に戻ってきたが、自分たちが日常に戻るには少し時間がかかるだろうと、ラリビエルさん。自宅に戻ったら、早速家族全員がカウンセリングを受けると話していた。

 

 

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