2016年10月13日 第42号

 超常現象が絡む事件を追う捜査官が主人公のSFテレビドラマシリーズ、Xファイル。1993年にシーズン1が放映されて以来、根強い人気を保ってきており、映画化もされている。

 同番組は2002年を最後に制作が中断されていたが、バンクーバーで撮影された新シリーズ(6回)が今年、放映された。その制作が環境に配慮した持続可能なものであったことから、ブリティッシュ・コロンビア州で先ごろ行われたバンクーバー国際映画祭(VIFF)で、インダストリー・ビルダー賞が贈られた。

 同番組の監督、クリス・カーターさんは授賞式に出席するためバンクーバーを訪れた際、バンクーバーはこうした番組製作にとって「クルー、ロケ地、設備など、必要なものがすべて揃っている上に、米ドルとの為替レートによるコスト削減の恩恵まで付いてくる」最高の環境だと、賞賛していた。

 VIFFのエグゼクティブ・プロデューサー、ジャクリーン・ダピュイスさんは、彼の作品によってバンクーバーが、世界的に有名な映画や番組のロケ地になったと話している。2000年代初頭には落ち込んだ当地の映画業界だったが、その後のカナダドル安や優遇税制の導入、そして経験豊富なスタッフの数などから、現在では世界でも屈指のロケ地となっている。

 Xファイルのシーズン1から5まではバンクーバーで撮影が行われたが、その後ロサンゼルスにロケ地が移された。しかし、劇場版Xファイル「真実を探せ」と、最新シーズンの撮影が再びバンクーバーで行われた。

 取材に応じたカーターさんは、これからのXファイルもバンクーバーで撮影できるよう、真剣な交渉を行っている最中だと明かしている。さらに主人公の2人を演じた俳優、デビッド・ドゥカブニーとジリアン・アンダーソンへの出演交渉も進んでいるという。

 まだ何も正式に決定したわけではないが、全てはバンクーバーでのロケを念頭において進められているとカーターさん。彼がバンクーバーを気に入っている理由の一つは、森が隣接していること。同ドラマの超常現象の不気味さを醸し出す背景として、よく利用されているという。ただ、昨年のロケは夏に行われたため、気候が良すぎたとのこと。以前は秋から春の間の曇りがちな季節に撮影していたため「そのままで完璧なロケ環境だった」とカーターさんは語っていた。

 

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