2016年9月29日 第40号

 ブリティッシュ・コロンビア州で8月2日より施行された外国人住宅購入者税は、違法であり外国人に対する差別であるとして、その払い戻しを訴える集団訴訟がBC州最高裁判所に提起された。

 外国人住宅購入者税は、高騰が続くメトロバンクーバー地区の住宅価格の沈静化を狙って施行され、家の価格の15パーセントの税金を、外国人購入者に限って課税するもの。今回の集団訴訟は、この税金を払った人全てが実質的に原告となる。

 この集団訴訟の代表を務めるのは、中華人民共和国からの留学生ジン・リーさん(29歳)。リーさんは同州バーナビー市に住み、大学に通っている。

 リーさんがメディアに語ったところによると、彼女は7月中旬にラングレーで売りに出ていた56万ドルのタウンハウスを購入。そのための10パーセントの頭金5万6000ドルは、母国にいる両親や友人から借り集めた。

 その直後に外国人住宅購入者税が施行され、リーさんは追加の8万4000ドルを払わなければならなくなった。もし購入を解約しても、頭金は戻らない。進むことも、戻ることもできないと、リーさんはインタビューに答えていた。 訴訟の争点のひとつは、外国人や外国との貿易や商取引に関する法整備は連邦政府の管轄であり、BC州政府にはこうした外国人を対象にした税を制定する権限はないという点。

 ふたつ目は、この税は外国人に対する差別であるという点。また集団訴訟を担当している法律事務所は、この外国人住宅購入者税は、カナダが他国民への平等な扱いを保障している条約に違反していると指摘する。そうした条約を締結している国の数は、アルゼンチンや中国、ロシア、またNAFTA締結国であるアメリカなど30カ国を超えるという。

 また法律事務所は、今回の集団訴訟は決してメトロバンクーバー地区の不動産問題をないがしろにするものではないと、メディアに説明している。この目的は、州政府が問題に対して誤った手段を用いたことを正すためのものだとしている。

 この集団訴訟が実際に審理されるためには、まず最高裁判所による承認が必要となり、それには何カ月かを要する。その間は、州政府は引き続き外国人住宅購入者税を徴収し続ける。

 

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