2016年8月4日 第32号

 ブリティッシュ・コロンビア州政府が先週発表した新課税導入を受け、週末のメトロバンクーバー不動産業界は駆け込みで契約が増加したと各メディアが伝えている。

 ある不動産業者によれば、8月1日がBCデーで祝日だった週末は、通常の約2倍の契約が成立したという。

 BC州政府は先週、外国国籍者の不動産売買に関して15パーセントの新課税をメトロバンクーバーに限り8月2日から導入すると発表した。高騰し続ける同地域の不動産市場を抑制するのが目的で、カナダ市民権、永住権所有者以外が対象となる。州政府はBC州の不動産売買の約10パーセントが海外投資家によるものとの調査結果を発表。それが高騰し続ける不動産市場の要因の一つとして今回の実施に踏み切ったと説明した。

 今回のBC州政府の新課税実施には、これまで不動産高騰に全く対策してこなかった州政府に対する州民の不満が背景にある。今年1月には不動産に介入するつもりはないと語っていたクリスティ・クラークBC州首相だが、全国紙がバンクーバーでの不当転売の事実を掲載すると態度を一変。バンクーバー市はBC州政府の承認なしに独自に非居住物件に対して新課税を導入すると発表し、さらにプレッシャーをかける形になった。州政府は最終的にはバンクーバー市の政策を容認。メディアや市の要求にBC州政府がようやく重い腰を上げた結果の新課税導入となった。

 州民の反応は、世論調査で回答した約90パーセントが新課税導入を支持していることが分かった。世論調査会社アンガスリードが7月29日に発表した調査結果によると、82パーセントは州政府はもっと早く手を打つべきだったとし、42パーセントが約30パーセントの価格下落を希望していることも明らかになった。また、新課税導入の効果については、42パーセントが不動産市場への影響は低いと答え、71パーセントが抜け道を簡単に見つけられると考えていると報告している。

 高騰するバンクーバー不動産の原因は65パーセントが海外投資家による介入と答え、37パーセントが非居住物件や投資目的での不動産購入が一因と答えている。また、バンクーバー市が導入する非居住物件への課税には88パーセントが支持すると答えている。

 カナダ・モーゲージ&ハウジング・コーポレーション(CMHC)は7月27日、バンクーバーとトロントでの不動産市場が過大評価されていると警告。特にバンクーバーについては市場の潜在的な問題性を警告に引き上げた。

 今回導入された新課税が同地域の不動産価格にどれほど影響があるのかは、今後の動向を注視する必要があると専門家は語っている。

 

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