アルバータ州のカルガリーとレスブリッジの中ほどに位置する、人口2000人弱の町、バルカン。ここで9日から2日間、人気テレビシリーズのファンが集う祭典「バル・コン」が開催された。

 劇場用映画にもなったスタートレックは、最初のテレビ放映から今年で50周年を迎え、カナダポストでも記念切手を発売するなど、世代を超えた根強い人気がある。

 この小さな町での祭典が行われるようになったのは、登場人物のスポック副船長の出身惑星の名前と同じだったことから。最初はごく少数のコアなファンが巡礼に訪れるだけだったが、近年はスタートレック・ファンの年中恒例行事になり知名度も急上昇してきた。

 そして今年は、そのスポック副船長を演じた故レナード・ニモイさんの息子、アダム・ニモイさんが祭典に初めて参加。9日の開会式に出席して記念碑の序幕を行い、スピーチではこの美しい農村の町を、スタートレック・コミュニティという宇宙の中心だと表現した。ちなみにレナード・ニモイさん自身も6年前にこの祭典に参加している。

 スタートレック人気の秘密のひとつは、他のテレビ番組や有名映画では決して表現されない、奥深い多様性、平等意識、そして包容力だと、ファンらは説明している。特に、スポック副船長らバルカン星人の哲学として番組中で紹介された「無限の組み合わせにおける無限の多様性」が、その全てを代弁していると、大ファンを自認するステーシー・ロイドさんは語っている。

 人間愛とはどういうものかを、これ以上うまく表現した作品はないと語るファンや、画面の向こうの話なのに自分が受け入れられることを体感できる友情や、家族の物語だと説明するファンがいるなど、その中に込められたメッセージに強く共感するファンが多いことも、人気の秘密であり、こうした小さな町の祭典が続けられる原動力なのだろう。

 

System.String[]

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。