ジャスティン・トルドー首相は3日、中国の王毅外相が1日、オタワでステファン・ディオン外相と記者会見した時にカナダ人記者を叱責した問題で「遺憾に思っていることを中国側に伝えた」と語った。

 中加自由貿易協定などの案件でカナダを訪問中だった中国の王毅外相は1日、ディオン外相と共同記者会見に臨んだが、その時にカナダのオンライン政治ニュースメディア・アイポリティクスの記者が、中国の人権問題を取り上げたところ、明らかに憤慨した様子で質問した記者に対し「あなたの質問は中国に対する偏見に満ちていて傲慢だ。そうした質問がどこから出てくるかは知らないが、絶対に受け入れられない」と声を荒らげた。

 記者の質問自体はディオン外相に向けたもので、中国の人権問題が懸念される中で、なぜ中国との関係を強化していくのかというものだった。中国ではカナダ人のケビン・ガラットさんが、スパイ容疑で拘束されている。

 アイポリティクス記者の質問は、他のカナダメディア、カナディアン・プレス、グローブ&メール、ロイター、ウォールストリート・ジャーナルなどを代表してされたものだった。

 今回の件では中国外相の態度もさることながら、その場にいたディオン外相がカナダ記者が叱責されていることに対し、何の反応も示さなかったことも批判されている。

 これに対し3日、ディオン外相がツイートで反応したことで、同日トルドー首相も政府としての見解と自身の意見を述べた。ディオン外相は質問した記者は優秀な記者であり、私の手助けを必要としていなかったと述べた。

 トルドー首相は、ディオン外相と外務省が中国外相と在カナダ中国大使に遺憾を表明したことを報告。中国政府関係者との会談の機会には、カナダとして毎回のように人権についての懸念を示しているし、特にガラットさんの件を話していると語った。

 さらに、自分にとって「報道の自由は非常に重要なことだと思っている」と語り、メディアの仕事は「タフな質問をすること」だと思っているし、ジャーナリストはそうあるべきだとの持論を述べた。

 

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