ブリティッシュ・コロンビア州で計画されている液化天然ガス(LNG)開発事業について、国内外の研究者が承認しないよう自由党政権に働きかけていることが5月30日分かった。

 カナダをはじめ、アメリカ、オーストラリア、イギリスを含む90人の科学者が連名で自由党政権に送った書簡は、パシフィック・ノースウエストLNG計画について温室効果ガス排出量が増加するとの意見をまとめたもので、一般にも公開された。

 それによると、事業に関係する全ての排出量を合わせると、同プロジェクトによりBC州の温室効果ガス排出量は最大で22・5パーセント増加し、国内で最大の排出量施設の一つとなると報告している。

 またLNGのアジアへの輸出は、地球規模でみると、アジア地域での石炭発電の減少につながり環境問題に一役買うとの推進派の主張に対しても、LNGが石炭発電に取って代わるという保証はなく、石炭もLNGも両方利用するという可能性があるとして反論している。さらに、LNGを利用することによって、再生可能エネルギーの生産が減少する可能性があるとも指摘している。

 BC州政府はLNG開発事業に力を入れており、クリスティ・クラーク州首相は2013年の選挙ではLNGを同州経済の根幹に置くと公言、10万人の雇用を生み出し、州の借金を完済できる可能性があると主張していた。

 BC州で計画されている多くのLNG事業開発計画でも、マレーシアの国営企業ペトロナス社が率いるパシフィック・ノースウエストLNG計画は最大級。日本、中国、インド、ブルネイも参加している。

 キャサリン・マッケナ環境相はことし3月、カナダ環境アセスメント局が認可すれば閣僚会議にかけ承認するか決定すると語っている。今回の書簡は、マッケナ環境相をはじめ、ジャスティン・トルドー首相、ジェームズ・カー天然資源相、ジョディー・ウィルソン‐レイボールド法務相に宛て送られている。

 書簡には、LNG計画を実行することによりBC州の温室効果ガス削減目標が達成できないことになり、カナダの国際的な環境問題への取り組みに傷をつけることになるとも訴えている。

 昨年パリで開催された環境会議でカナダは温室効果ガス削減に取り組むことを約束しており、計画を却下することで今後何十年にもわたる排出量増加を食い止めなければならないと計画中止を訴えている。

 ことし6月下旬までには決定するとマッケナ環境相はすでに表明している。

 

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