カナダのオイルサンド産業の中心地のひとつ、アルバータ州フォートマクマレーに大きな被害を及ぼした森林火災は、ようやく終息する兆しが見えてきた。
3日に避難命令が出されて以来、およそ2万5000世帯8万人が避難する事態となったフォートマクマレー。9日までの時点で20万4000ヘクタール(2000平方キロメートル強)の山林が焼失したほか、2400戸あまりの住宅などの建物も全焼した。また同地区の北に位置する先住民の町フォートマッケイにも7日に避難勧告が出され、老人など約300人が避難した。
消火活動には約20機のヘリコプターや30機ほどの消火飛行艇のほか、90台近い消防車が出動。また500人以上の消防士がフォートマクマレーで消火活動にあたったほか、オンタリオ州からも80人以上の消防士が応援に駆けつけ、マニトバ州は森林火災の専門家を20人ほど現地に派遣した。
現地はガスの供給が止まり、送電網にも被害が出た。また上水道も水質を維持できなくなるなど、大きな被害を被っており、いつになったら避難命令が解除されるかは、まだわからない。
しかし、8日には小雨模様となり森林火災の勢いは衰え始め、消火活動の指揮にあたってきた関係者は、峠は越えたと記者会見で発表。また火災の規模も、想定よりも火のまわりが遅かったこともあり、予想されていた規模の半分程度にとどまったことも明らかにした。
またこの日、同地区を視察した連邦議会議員デビッド・ヤーディガさんも、病院や学校など主要な施設は被害を免れており、浄水施設も機能することが確認できたと取材陣に報告。さらに火災の被害を受けた住宅は全体の20パーセント以下にとどまっており、最悪の事態には至らなかったとコメントしている。
9日に記者会見を開いた、フォートマクマレーなどが含まれるウッド・バッファロー地域消防署署長ダービー・アレンさんは、消防隊員らの決死の消火活動がなかったら、フォートマクマレーの半分近くが火の海に飲み込まれていただろうと語った。また消火活動中に自宅が燃え盛っている場面に遭遇しながらも、付近一帯の消火活動の手を緩めることをせず、その後22時間にわたり精根尽き果てるまで活動を続けてきた隊員の話を紹介、こうした隊員たちの功績を称えた。
また、この森林火災が直接の原因となった死傷者は出なかった。しかし、フォートマクマレーに住むエミリー・ライアンさん(16歳)の乗ったSUVが4日、避難途中にトレーラートラックに衝突・炎上。この車を運転していたライアンさんの継母の甥アーロン・ホグソンさん(19歳)とともに死亡する痛ましい事故が発生した。また彼女は、フォートマクマレー空港に近い、サプレイ・クリーク地区の消防団長代理の娘だった。
フォートマクマレーから175キロメートルほど南にある、人口約2500人の町ラク・ラ・ビシュは、同町の体育館を避難所として提供、4400人ほどの避難住民を受け入れているほか、食事や衣料品、さらにペットのための避難先を用意した。
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