ブリティッシュ・コロンビア州リッチモンドの、日系移民の歴史と深い関わりを持つ漁港・スティーブストン。ここに住み続けてきた日系人のケイ・サカタさんは11日、100歳の誕生日を迎えた。

 戦前、町の中心から少し北にあるギャリー通りに7エーカーの畑を持つ農家に生まれたサカタさんは、いつもガーデニングに情熱を注いでいた。戦後スティーブストンに戻ってきた時から住んでいる1番アベニューにある彼女の自宅の庭は、いつしか多くの人がわざわざ訪れる名所になり、人々は彼女のことをガーデニングの専門家と呼ぶようになった。

 また彼女は自宅で育てた植物を、よく人に分けていた。例えばスティーブストン郊外にある、1880年代の建物や美しい庭園で有名なロンドン・ヘリテージ農園を飾る植物のいくつかも、サカタさんの庭からもたらされたものだという。

 サカタさんは近所のロード・ビング小学校からリッチモンド高校に進み、1933年に卒業。第2次世界大戦中に強制収容された先のグランド・フォークスで夫となるショウゾウ・サカタさんと知り合い1949年に結婚、日系人が西海岸に戻れるようになったのと同時に、スティーブストンに新居を構えた。

 60年代、70年代と地元の缶詰工場B・C・パッカースで働きながら、2人の子供にも恵まれたサカタさん。彼女は裁縫も得意で、スティーブストン仏教会や町中にあるヘップワース・ビルディングなどで裁縫教室も開くなど、充実した生活を送ってきた。

 しかしサカタさんが常に愛してやまなかったのは、何といってもガーデニングだった。

 彼女が育てた花々は、毎年7月1日に地元で開催されるスティーブストン・サーモン・フェスティバルの生花コンクールで使用されてきた。また2006年には彼女自身がパレードの先導役に抜擢された。

 現在は車椅子生活になったため庭仕事はできなくなったものの、常にアクティブな彼女の姿勢に変わりはない。彼女が世界中を旅してみたいと家族に相談したのは、80歳を過ぎてからだった。いまや彼女が踏み入れていない大陸は南アメリカ大陸だけとなり、これからも出かけられるチャンスがあるかも知れないと、つい先日パスポートを更新したばかりだ。

 長生きの秘訣は何かと聞かれたとき、サカタさんは笑いながら「自分でもわからない」と言い、まさか自分が100歳の誕生日を迎えられるとは思っていなかったとインタビューに答えている。そして、幸せな気持ちでいることが、その秘訣かもしれないと付け加えていた。

 

System.String[]

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。