ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーで12日に行われた、カナダの人気ポップスターのコンサートで多くの偽チケットが出回り、コンサート会場入り口で途方に暮れるファンが続出した。

 この、ジャスティン・ビーバーのコンサートのためにブラジルから飛行機で15時間かけてやってきた、15歳のマリア・ファルカオさんもそんな1人だった。

 2009年からジャスティン・ビーバーの大ファンというファルカオさんは、ブラジルでのコンサートは良い環境ではないからと、オンラインで600ドルを払ってバンクーバー・コンサートのチケットを手に入れた。ブラジルの国旗を身にまとい、会場のロジャーズ・アリーナに到着したファルカオさんはしかし、その時になって初めてチケットが偽造であることが判明し、入場できないと告げられた。

 同行していた友人たちはすでに入場しており、ひとり置き去りにされ連絡も取れなくなっていた彼女に声をかけたのは、同じく入り口でチケットがニセモノであると告げられ、大ショックを受けていたアンナ・ヘブラー=ジンガーさんとアニー・フリントフさん。

 自分たちのチケットを買いなおすことは無理だったし、ここに住んでいる自分たちは次のコンサートを待てばいいことだと、2人はせめてファルカオさんが入場できるようにと、手持ちの90ドルを渡した。メディアがファルカオさんのことを紹介していたこともあり、彼女はファンらの助けを受けて無事コンサートを観ることができた。

 しかし会場のまわりには偽チケットを購入したことがわかり、まるでホラー映画を観た後かのような青ざめた顔をしたファンがそこらじゅうに見られたと、自分も偽チケットを掴まされてしまったアンバー・セクホンさんは取材に語っている。

 セクホンさんと友人は、バンクーバー市内のオークリッジ・モールでその日の昼間、アジア系の青年から1枚150ドルでチケットを購入した。チケットは本物のように見えたし、青年の身分証明書も確認したが、セクホンさんは万が一のために、チケットがニセモノだった時には当人の顔写真をネット上に晒すと、彼に念を押した。

 しかし彼は一笑に付したので、ならば本物だろうと彼女らはそのチケットを手に会場に向かったのだった。

 コンサート会場に入れなかったセクホンさんは翌日、この青年の顔写真を自身のフェイスブックに掲載、その日のうちにメディアは少なくとも3人から、この同一人物から偽チケットを購入したという連絡を得ている。

 警察は、偽チケットはメジャーなコンサートやイベントではいつも起こっている詐欺であり、チケットを小売業者など第三者から購入する場合は、身分証明書を確認するなど詐欺対策をしっかり講じるようアドバイスしている。

 

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