カナダドルが12日、ついに70米セントを下回った。この日の為替市場の取引では70米セント付近を維持していたが、一時的に69・85米セントに。終値は70・14米セントまで戻したが、前日より17米セント下げた。カナダドルが70米セントを下回るのは、2003年4月以来、13年ぶり。
この日は原油価格も1バレル30米ドルを割り、一時29・93米ドルまで落ち込んだ。終値は30・44米ドルまで持ち直したが、それでも前日より97米セント下落した。
カナダドルに大きな影響を及ぼす原油価格の下落が止まらない。天然資源産業の輸出が主要産業の一つであるカナダにとって、原油価格の変動は直接影響する。原油価格は1年半前の2014年6月には105米ドルをつけていた。カナダドルも2007年11月には1・103米ドルをつけ、米ドルを上回るカナダドル高は2013年2月まで続いた。リーマンショック後にもかかわらず、カナダ経済は大きく崩れることはなかった。
しかし原油価格の急落と共にカナダドルも下がり、カナダ経済にも影響が出始めている。カナダ銀行は昨年2回の金利引き下げを行った。主な要因は原油価格の急落。今回のカナダドル安を受け、1月20日の発表ではさらなる金利引き下げを行うのではとの市場の声は大きくなっている。
1月7日の会見では、カナダ銀行スティーブン・ポロズ総裁は、カナダドル安は天然資源産業以外の輸出産業にとってはプラスという面もあり、金利引き下げについては言及しなかった。ただ、カナダドル安が原油価格安と関係があるとの認識は、2003年、2004年のカナダドル安が、当時の原油価格が現在の水準と重なることを例に挙げて説明した。
カナダドルが最安値を付けたのは2002年1月、61・79米セントまで下がった。自由党ビル・モルノー財務相はモントリオールで記者団に応え、「国民が原油価格とカナダドルの動きに注目していることは分かっている」と述べ、この二つの動きが国民にとって重要な経済指標であることも認識していると語ったものの、予算案では公約通りの景気刺激策を盛り込むかは言及を避けた。