ブリティッシュ・コロンビア州ラングレー市の造園会社で働いていたエリック・マヌさんは、母国ガーナの族長の位を継ぐため、帰国することとなった。

 仕事中にかかってきた一本の電話で、マヌさんは自分が次期族長に推薦されたことを知らされ、彼はその場で承諾の返事をした。マヌさんはアフリカ・ガーナの南部に住むアカン族出身の32歳。先代の族長だったおじは2013年に亡くなっていたが、継承者の選出には普通2〜3年かかる上、マヌさんのような若者が選ばれることは一般的ではないため、自分が呼ばれるとは思っていなかったようだ。

 12月には就任式が行われ、2016年1月からは6000人の部族のリーダーとなる。

 マヌさんはカナダ人女性と結婚後、3年前にカナダに移住してきた。

 妻のドリー・ブロック(旧姓)さんは、マニトバ州サスカトゥーン市出身。医学博士過程の研究で訪れていたガーナでエリック・マヌさんと知り合い、約半年後に結婚、当地で暮らし始めた。しかし2〜3年たった頃、新しい生活を求めてカナダに移った。ドリーさんは男の子を出産、マヌさんは造園会社の職を見つけた。彼は自然を美しく見せるこの仕事を気に入っていたという。

 ところで妻のドリーさんは、結婚当時マヌさんが族長の血筋だとは知らなかった。そのことを知った時は驚いたものの、彼が族長になるのは当分先のことだろうと思っていた。マヌさんが王位を継承すると、ドリーさんは「母なる女王」となり一族の経済的発展を指揮することになる。

 新年からは現地の古老からリーダー学を学ぶマヌさん。しかし造園業で学んだことも生かし、部族の皆と働いて助け合っていきたいと話している。

 「自分が権力を握りすぎると、みんなは恐れて近づかなくなる。それでは良いリーダーになれない」とマヌさんはその心構えを語っていた。

 

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