オタワで現在行われている上院マイク・ダフィ議員の裁判で12月15日、ダフィ議員本人が証言台に立ち、弁護士の質問を受けた。
この日焦点となったのは、ダフィ議員が返金した経費不正受給分約9万ドルについて、スティーブン・ハーパー前首相がかかわっていたのかどうか。ダフィ議員の裁判は、2015年春から始まり、何回かの休廷を挟みながら現在に至っている。その間、関係者が証言し、ようやく問題の真相が明らかになりつつある。
上院議員経費不正受給問題は、2013年に入ってから問題が明らかになり始め、さまざまな人々がかかわっていた。その中でも、注目されたのがダフィ議員。元ジャーナリストという経歴で、ハーパー首相が、プリンス・エドワード島を基盤とする上院議員に任命、保守党系上院議員として党内でも大車輪の活躍をしていた。
しかし、2013年に上院議員の住宅手当や交通費の不正受給が明らかになり、上院の調査で4人が大金を不正受給していたことが分かった。
ダフィ議員は不正受給が指摘された当初は完全否定。手続きミスはあったが、故意に不正受給をしたわけではないと説明した。当時は自身で不正受給分が約3万2千ドルと思っていた。しかし、結局約9万ドルの不正を指摘され、結局全額を上院に返金した。
ところが、この9万ドルの返金はダフィ議員本人が支払ったものではなく、当時首相事務所の首席補佐官だったナイジェル・ライト氏が立て替えていたことが2013年5月に明らかになった。ダフィ議員は5月にメディアで報道されるまでライト氏が立て替えたことは知らなかったと語った。
ダフィ議員は2015年2月22日、CBCにテレビ出演し、自分のミスで不正に受給したことを認め、全額返金すると語った。
この時点ですでにハーパー前首相が関与していたという。ダフィ議員は、22日のテレビ出演での告白はハーパー前首相を含む首相事務所に強いられたもので、自分は不正をしたとは思っていなかったと語った。また、ハーパー前首相が返金分はライト氏が何とか解決すると自分に告げたとも証言した。ダフィ議員の不正金返済についてのシナリオは前首相をはじめとする首相事務所で出来上がっていたとダフィ議員。もしシナリオ通りに行動しなければ、上院議員を辞めることになるとも言われたと語った。
その後同年3月にダフィ議員は全額を返済。同年5月にライト氏がダフィ議員の不正分を全額融資したことが明らかになり、ダフィ議員はこの時初めてライト氏が全額を支払ったことを知ったとも語った。
不正したとは思っていなかったのに、それを認め返金したことについて、「保守党が用意したシナリオ通りに行動しなければ、議員を辞めなければならなくなると脅されたとも語った。
ダフィ議員はライト氏に支払いを肩代わりしてもらったことで、自身がなんの得もしなかったと説明。このシナリオで利益を得たのは前首相で政治的なものに限定されていたとも語った。
4人の不正受給については調査を連邦警察に委ねることが決定され、4議員は上院議員としての活動停止と給与凍結が決定した。