カナダ銀行スティーブン・ポロズ総裁は12月15日、金融制度報告を行い、不安定要素として世帯当たりの負債が過去最高に膨らんでいること、住宅市場が不均衡に高騰し続けていることをあげた。
国民の負債については、前日、カナダ統計局が第3四半期の負債返済率が過去最高となったと発表。その原因の一つが住宅ローンだった。
カナダ銀行は2015年に入り、2回金利を引き下げ、現在は0・5パーセントとなっている。2日に発表した金融政策では金利は据え置いたが、現在はその必要がないが必要ならばマイナス金利という措置も念頭に置いていることを13日に明かした。
しかし、カナダ銀行が懸念している負債増額の要因が住宅ローンであり、低金利政策が国民の住宅購買意欲を促進している。そのため、特定の住宅市場で高騰が続く要因をカナダ銀行が作っているとの批判もある。
ポロズ総裁は、住宅市場の高騰を抑える規則変更はまだ可能と語り、住宅バブル崩壊のシナリオを避ける方法があることを示唆した。しかし、詳細については語らなかった。
自由党政権は11日、モルノー財務相が住宅購入時の最低保証金額を引き上げると発表。影響は小さい範囲に止まるとみられているが、これ以上は今のところ規則を変更する予定はないと語った。この日、カナダ不動産協会が発表した11月の住宅価格は前年同月比で上昇。トロント、バンクーバーは特に上昇幅が大きかった。
このまま住宅価格が特定の市場で高騰し続けると、負債増額率が所得成長率を上回る状況が続くことになる。現在、原油価格の下落でカナダ経済が伸び悩む中、失業率も悪化し、負債額の増加と住宅価格の高騰は、カナダ経済にとって大きな危険をはらんでいるという認識は変わらないと語った。