フランスのパリで開かれていたCOP21(第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議)に出席していたキャサリン・マッケナ環境・気候変動相は12月9日、これからのカナダの環境政策が国内の天然資源産業、特に石油産業にどのような影響が出るのかは今のところ不透明との見解を示した。
カナダはこれまでCOP会議では環境対策について国際社会と協調することを拒んでいた。それは、保守党政権の天然資源産業保護が最大の理由で、カナダ経済を支える石油産業が、環境対策に積極的に取り組むことにより経済に悪影響が出ることを避けるためと説明していた。
しかし、2015年10月の総選挙で自由党が圧勝。自由党政権ジャスティン・トルドー首相は、環境対策に積極的に取り組むことをCOP21のオープニング演説で自ら公言した。
マッケナ環境相は、「カナダはこれから低炭素経済へ向け努力していく。それがどういう意味を持つのかもう一度検討する必要がある」とパリで記者団に語った。政権は交代したが、天然資源産業がカナダにとって重要な産業であることに変わりはない。
マッケナ環境相は、カナダとして環境対策に積極的に取り組みながら、天然資源産業を含めカナダ全体を通して対策を考える必要があると語った。
カナダの石油産業は、アルバータ州のオイルサンドを海外市場へと販路を拡大していくために、輸送するパイプラインの建設が必要となるが、2015年はアメリカのオバマ大統領がテキサス州までのパイプライン建設計画の承認拒否を発表した。トルドー首相は、アルバータ州からブリティッシュ・コロンビア州北部沿岸までのノーザン・ゲートウェイ・パイプライン建設に反対で、アジア市場へと販路を拡大しようとしている石油産業にとっては厳しい状況となっている。望みはエナジー・イースト・パイプライン建設計画で、アルバータ州からニューブランスウィック州までをつなぎ、海外へと輸出する。
今回のパリ協定でカナダの石油産業にどのような影響が出るのか、原油価格が下がり続ける中、カナダ経済への影響も大きい同産業への自由党政権の政策が注目される。