2018年8月9日 第32号

8月3日、バンクーバーから日本へ出発するJETプログラム新規参加者の壮行会が、在バンクーバー日本国総領事公邸で開かれた。今年度はブリティッシュ・コロンビア(BC)州から82人がJETプログラムに参加する。

壮行会には翌日に出発を控えた76人と8月後半に出発する3人ほか、JETプログラム同窓生やプログラム実行関連機関など約100余人が出席。岡井朝子在バンクーバー日本国総領事のほか、BC/ユーコン州JET同窓会会長らが参加者を激励した。

 

 

岡井朝子総領事とJETプログラム参加者のみなさん(翌日出発を控えた76人と8月後半に出発する3人)。すでに4月に出発した人もいる

 

JETプログラム、カナダから今年で30年

 JETプログラムは1987年に外国語教育の充実と地域レベルの国際交流、諸外国との相互理解を目的に始まり、現在、54カ国から5500人が日本に滞在中。カナダでは1988年に開始し、これまで9278人が参加している。

 今年度はカナダから244人が参加。参加者数ランキングは第1位がアメリカ、次いでカナダ、イギリスの順位である。

 BC州から参加の82人は、77人がアシスタント・ランゲージ・ティーチャー(ALT)として中学・高校で英語教師のアシスタントに、5人が国際関係コーディネーター(CIR)として地方の役所や国際機関に配属される。

 

アンバサダーとして

 冒頭で「高い競争率の中から厳しい審査を通過した皆さん、おめでとうございます」と祝辞を述べた岡井朝子総領事は、2012年に安倍政権が日本で観光立国政策を始めたときは訪日外国人数は500万人だったが、昨年は3000万人以上を記録。2020年までに4000万人以上の受け入れを目標としていると説明。

 「2020年のオリンピック開催に向けて国をあげて取り組みを強化している中、皆さんの役割は大変重要です。日本では英語教育のほか、全世界からお客様を迎える準備に携わる人も多いでしょう。アンバサダーとして、日本とカナダやBC州をつなぐ役割を果たしてください」とスピーチした。

 岡井総領事がJET壮行会を主催するのは3回めで、これまで300人以上を日本へ送り出してきた。今月中に現職を離任しニューヨークの国際連合に赴任する岡井総領事は「国際連合開発計画危機対応局長として、世界の危機への対応や開発にあたります。大きなチャレンジでもありますが、一生懸命取り組むつもりです。世界はつながっています。新しい世界へ飛び込んでいく皆さんと、またどこかで出会うことを楽しみにしています」と励ましの言葉を述べた。

 

人生にはチャレンジが必要

 参加者の中には、日本に数回行ったことのある人も少なくなかった。旅行ではなく実際に生活してみたい、日本語に磨きをかけたい、日本の文化が好きなど、応募の動機はさまざま。

 中には日本語はまったくわからないという人もおり、出発前には日本語講習会が開かれた。その中のひとりアダムさんは山形へ。「さくらんぼのお酒があると聞き、飲んでみたいです」と話す。「どんな村でしょうね?」と首をすくめるデビッドさんの名札には、長野県みなみまき村と書かれていた。長野県南佐久郡南牧村を検索し、高原と酪農の村だと知ったという。

 「僕がこの中で一番年上かもしれません」というジェシーさんは35歳。「とてもいい仕事に就いていて辞めたくなかったのですが、人生にはチャレンジが必要と思い、JETプログラムに応募しました。大分県宇佐市に決まりました。車を運転して休日には博多の友人を訪ねたいです」と話す。

 期待と興奮、不安で胸いっぱいの参加者たちは情報交換したり、JETプログラムの先輩からアドバイスを受けた。日本では各地で誇りを持って酒造りをしているからと、岡井総領事が特別に振舞った日本酒をたしなんだことも、日本へ行ってから話題のひとつになることだろう。

(取材 ルイーズ阿久沢)

 

 

日本へ旅立つ参加者に激励の言葉を述べた岡井朝子総領事

 

スピーチに聞き入る参加者の皆さん。以下、カッコ内は赴任地

 

(左から)クワントレン・ポリテクニカル大学(KPU)を卒業したアマンダさん(青森県八戸市)とサマンサさん(宮城県仙台市)、KPU講師のロバーツ世以子先生。アマンダさんは東洋大学へ1年交換留学したことがある。同大学では約250人が日本語を専攻しており、今年度は3人がJETプログラムに合格した

 

(左から)アダムさん(山形県)、デビッドさん(長野県みなみまき村)、メキシコ人の父とカナダ人の母を持ちスペイン語と日本語を流暢に話すエデュアードさん(仙台市)

 

(左から)レイさん(東京)、キャサリンさん(島根県松江市)、ジンさん(札幌市)。私立校もJETプログラムと提携を開始したことから、レイさんは都内文京区の私立・京華学園で英語を教えるという

 

(左から)ジャネットさん(群馬県安中市)、ダコタさん(山口県下関市)、キムさん(山口県美祢市)

 

JETAABC(BC/ユーコン州JET同窓会)について説明する同会イベント・コーディネーターのビビアン・リーさん(右)

 

「情熱を示せば日本人も真摯に受け止めてくれ、友情が生まれます。カナダからのアンバサダーとして頑張ってください」と挨拶をしたタイ・ラムさん(JETAABC:BC/ユーコン州JET同窓会会長)

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。