ゲームを楽しむためのルール解説

❶プレーヤー

選手18人、ゴールキーパー2人で構成される。氷上でプレーをするのは5選手と1ゴールキーパーの6人。キーパー以外はベンチにいる選手と代わる代わるプレーする。1選手が1回にプレーする時間は約30秒から1分。1試合ではフォワードで約15分、ディフェンスで20分ほど。ホッケーの場合、選手交代の回数に制限はない。状況に応じてどの選手がプレーするかを決めるのは監督・コーチの仕事で、ここが腕の見せ所でもある。
プレーヤーのポジションには、フォワード(FW)、ディフェンス(DF)、ゴールキーパー(GK)があり、基本的にFW3人、DF2人、GK1人が常に氷上でプレーをしている。
FWは3人一組でプレーする。この3人組をラインと呼び、同じラインの選手をラインメイトという。基本的に1チーム4ラインある。チームで最も得点を稼ぐ選手のいるラインを第1ライン、もしくはトップラインともいう。
ラインは固定されていることもあるし、試合ごとに変わることもある。現在、カナックスの第1ラインは、ヘンリック(#33)とダニエル(#22)のセディン兄弟とバロウ(#14)。
DFも基本的には2人一組でプレーする。

❷試合構成

1試合60分。3つのピリオドに分かれ、1ピリオドは20分。プレーが中断している間は時計を止める。

❸延長戦(OT)

第3ピリオドが終了した時点で同点の場合に行なわれる。時間は5分間。先に点を入れた方が勝ちとなるサドンデス方式。第3ピリオド終了1分後に開始される。プレーする選手は4選手、1ゴールキーパー。

❹シュートアウト(SO)

OTでも勝敗が決まらない場合に行われる、GKに対して選手が1対1で挑むシュート。まず各チーム監督が3選手を選出する。これで決着がつかない場合、サドンデス方式で試合が決定するまで続ける。

❺ポイント(勝ち点)

勝ちが2ポイント、OT・SOで負けた場合は1ポイント、負けは0ポイントが加算される。

❻審判

主審2人、ラインズマン2人で1試合を担当する。

❼反則とペナルティ

選手が反則を犯した場合、その行為に対しペナルティが課せられる。主なペナルティの種類には、2分間のプレー停止となるマイナーペナルティ、5分間のメジャーペナルティ、10分間のミスコンダクトペナルティ、即退場となるマッチペナルティがある。反則とペナルティの種類は審判が判断する。反則した選手は、ペナルティボックスで指定された時間を過ごす。その間相手チームは選手が1人、もしくは2人多い状態でプレーでき有利となる。
この相手の反則により選手が多い状態でプレーすることをパワープレーと言い、反則を取られた一人少ない状態でプレーすることをペナルティキリングという。
反則の種類は多く、全てを網羅することは難しいが、試合を見ているうちによくある反則は自然と分かるようになる。

❽オフサイド

アタッキングゾーンに入っていく時、パックより先に選手がブルーラインを越えてしまう反則。この場合はニュートラルゾーンでフェイスオフが行なわれる。アタッキングゾーンで攻撃中にパックがブルーラインから出てしまうと攻撃側の選手は全員一度、アタッキングゾーンからでなければならない。

 

まだまだ細かいルールはあるが、基本的には、多く得点した方が勝ちと比較的分かり易い。「氷上の格闘技」とも呼ばれるように、迫力とスピード感が魅力のスポーツである。カナダでは、シーズン中、寝ても覚めてもホッケーという状態が続く。カナディアンが最も熱くなるホッケーをカナダで観戦してみるのも面白い。

ナショナル・ホッケー・リーグ(NHL)

NHLは全30チーム、東西各カンファレンス15チームで構成されている。さらに各カンファレンス3地区に分かれている。西は、北西、中央、太平洋各地区、東は大西洋、北東、南東の各地区。試合はカンファレンスの枠を超えて対戦が組まれているが、同地区内の対戦数が多い。レギュラーシーズンは10月から4月上旬まで全82試合。
レギュラーシーズンの順位は、勝ち点順となっている。ただし、1位から3位までは各地区首位のチームが占める。つまり、どんなに勝ち点が少なくても、地区首位ならば3位以内に入れる。これはプレーオフ進出が確定されることを意味する。

スタンレー杯

NHLチームの究極の目標はスタンレー杯優勝。これに向け、全チーム、ひたすらシーズンを戦うのである。
その始まりともいえるプレーオフは4月中旬ごろに始まる。レギュラーシーズンの各カンファレンス上位8チームがプレーオフに進出できる。1回戦の組み合わせは、1位対8位、2位対7位、3位対6位、4位対5位。上位のチームが常にホームチームとなる。各カンファレンスで優勝したチームが、スタンレー杯決勝戦に駒を進める。
対戦は1回戦からスタンレー杯決勝まで7試合4先勝制。延長戦は、シュートアウトなしの1ピリオド20分で勝敗が決まるまで試合を続ける。
レギュラーシーズンと違い、1敗が命とりなるプレーオフは、激しさが増した濃密なホッケーが楽しめる。

カナダのチーム

カナダには現在7チームある。東カンファレンスのトロント・メープルリーフス、モントリオール・カナディアンズ、オタワ・セネターズ、ウィニペグ・ジェッツ、西カンファレンスのバンクーバー・カナックス、カルガリー・フレームス、エドモントン・オイラーズ。ジェッツは、2011年経営不振だったアトランタ・スラッシャーズをカナダの企業が買収し、本拠地をウィニペグに移転して、昨季17年ぶりのNHLチーム復活となった。
しかし、カナダからスタンレー杯が遠ざかって久しい。カナダのチームが前回スタンレー杯を手にしたのは、1993年カナディアンズ。今年で20年目になる。最近では、2011年の決勝で、カナックスが第7戦までいったが、ボストン・ブルーインズに敗れ、涙を呑んだ。

今季のNHL

今季は通常のNHLシーズンとは異なっている。本来なら10月に始まるシーズンが、今季は1月19日にずれ込んだ。原因はリーグと選手会の労使交渉決裂。新労働協定をめぐり、意見が対立した両者は、前労働協定が切れる9月15日までに新協定の合意に達することができず、リーグ側が施設封鎖の措置を取ったため、シーズンの開始がずれ込んだ。
ようやく両者が合意に達したのは1月6日。そこから大急ぎで事務手続きを済ませ、なんとか開幕にこぎつけた。

 

そのため、今季は全48試合でレギュラーシーズンが組まれ、対戦は各カンファレンス内のみ。プレーオフは4月30日開始、スタンレー杯決勝は6月下旬にずれ込む見込みとなっている。

 

(取材 三島直美)

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