冬でも午前中はマウントワシントン・リゾートでスキーやスノーシューを楽しみ、午後には町でゴルフ、海でカヤックを楽しむというライフスタイルが楽しめる。夏は数々のお祭りで賑わう。ハイキングコースやビーチも数かぎりなくある。街中でも鹿があちこちを闊歩し、一歩郊外に出ると黒熊やクーガに出くわすことも珍しくない。コモックスダウンタウンのマリーナにはたくさんの娯楽用ボートが浮かび、漁船から直接新鮮なエビや魚が買えるのも嬉しい。春にはニシンの大群が訪れ、秋には巨大なサーモンが釣れる。アザラシやアシカ、ラッコが泳ぐ海の上空に白頭鷲が雄大な円を描く。コモックスバレーは人間が人間性を取り戻せる大地である。

コモックスダウンタウン

小さいながらも清潔でおしゃれな通りである。レストラン、小物店、ギャラリー、モールなどがこじんまりと並ぶ。歩いてすべての用が足せるところが魅力。夏の間は週末にモール駐車場でマーケットがオープンする。

コモックス氷河

これはフィルバーグ邸からの眺めであるが、コモックス埠頭やコーテネイの町からの眺めはもっと迫力がある。海あり、山あり、有機農場やワイナリーありの楽園を自分の目で体験していただきたい。

日系人住居跡

カンバーランド村からコモックス湖に向かう途中にある。まだ表示などが充実していないので見落としやすい。中華街跡の駐車場(ここは整備されているので分かりやすい)からトレイルを歩いても行けるが、車で直接乗り入れる場合は中華街跡の駐車場から約1キロ湖方面に進んだ地点左側に紙の表示がある。

コモックスマリーナ

豪華なレジャーボートから漁船までが停泊する美しい埠頭。お天気の良い日にはボーフォートの山並みをながめながら埠頭でピクニックも楽しい。海を歩いているのかと見まがうようなパドルボード族の群れやドラゴンボートの練習風景も見られる。

アクセス

コモックスバレーMAP

ナナイモから19号線で北上 117出口で降りる。(107Km=約1時間15分。)あるいはナナイモから19Aという旧道を選ぶと時間的には15分から20分余分にかかるが、海岸沿いを走るので実に美しい。一本道でコートニーに到達する。(19号線と19Aはある区間は同じ道路なので分岐点を見逃さないようご注意)。ビクトリアからも同じく19号線で220Km=約2時間半

飛行機

コモックス空港(YQQ)がある。バンクーバー、カルガリー、エドモントンから直行便が毎日運行。(バンクーバー約25分。カルガリーエドモントン1時間半。)コモックスマリーナからバンクーバーダウンタウンにも定期的に小型機が飛ぶ。

フェリー

サンシャインコーストPowell RiverとコモックスLittle Riverの間をフェリーが渡る。時間がたっぷりある冒険派にはバンクーバー→ナナイモ→コモックス→パウエルリバー→アールスコーブ→バンクーバーと複数のフェリーを乗り継いでバンクーバー島と本土を一周することも可能である。

海路

ボートでコモックスマリーナに寄港することができる。(停泊場:一般用は5月から9月までオープン。)コモックスダウンタウンに位置するので便利。

鉄道

ビクトリアからコートニーまで敷かれているが、老朽化のため去年から使用中止状態。代わりに小型バスがビクトリア=コートニー間を一日一回往復している。

コモックスバレーとは

コートニー市(人口約2万2千人)、コモックス町(同1万3千人)、カンバーランド村(同3千人)とその周辺の集落(同2万4千人)を含めた地域をコモックスバレーと呼ぶ。9千年前から先住民コモックス族が居住していた。コモックスとは先住民の言葉で「Land of plenty」(豊富な土地)を意味するが、まさにその名の通り。1862年に最初のヨーロッパ人が訪れ、以後1900年代初期まで林業と炭鉱で栄えた。現在はもっぱらリタイヤメントの秘境として人口が急増中。

日系人墓地

ハイウェイ19号線117出口を降りてカンバーランド方面に向かうとすぐ左に小さな表示が出ているので見逃さないように注意。1942年に日本人が強制移動させられてから破壊・荒廃していたが、近年日系人協会とカンバーランド村の協力で復興された。当時カンバーランド村長だったウィリアム・モンクリフ氏が昨年旭日双光章を受章したニュースはまだ耳新しい。

フィルバーグ邸

ダウンタウンから歩いて10分。 フィルバーグ祭り(今年は8月3日~6日。この日だけは町の人口が倍増する。)や結婚式、イベント日を除けば閑静な公園。 イベント日以外は無料。簡単に公園周辺に駐車可能。 鹿が草を食み、四季の花々が楽しめる。 潮が引くと海の中を何百メートルも歩くことができる。 カキや貝類もたくさんみつかるが汚染されているので食用不可。

ファニーベイ・ユニオンベイ・ロイストンの集落

19Aでナナイモから北上するとクォリカムビーチなどの美しい海沿いを北上するが、最初に出くわすコモックスバレーの集落がファニーベイである。オイスターの養殖場があるので立ち寄ってみると良い。小さな施設だが、ここから全世界に輸出している。コートニーまでの景色は絶景。本土側の雪をかぶったジグザグの山並みが美しい。たくさんの芸術家のスタジオや農園、焙煎コーヒー店もあるので小さな看板に注意。座礁船を見にダイバーも集まる。またホーンビー島、デンマン島へのフェリーもここから発着している。これら別天地の島々のご案内はまた別の機会に。

コモックス町

コートニーからコモックスダウンタウンに向かうには17th通りの橋からComox Rdへのアクセスがお勧め。海の入り江沿いに弧を描きながらコモックスの町に入る。アシカが甲羅干しをしていたり、水鳥、白頭鷲などが鑑賞できる。先住民博物館も道路沿いにある。ダウンタウンにあるマリーナはコモックス氷河を含むボーフォートの山並みを背景に、3方を海に囲まれている。町を歩くと日本人経営の「寿司工房」をはじめ、さまざまなレストラン、アートギャラリーなどもあって、小さいながらもおしゃれな通りである。材木業で富豪となったフィルバーグ家の住居跡「フィルバーグロッジパーク」も散策できる。ここでは夏にフィルバーグ祭が催され、芸術作品や音楽で賑やかになる。1942年に日本からの攻撃を防ぐために秘密裏に建設された基地もコモックス空港隣にある。現在はSAR(捜索援助)のための空軍基地で博物館もある。空軍のアクロバットチーム、スノーバーズの春の定期訓練所でもある。Goose spitと呼ばれるコモックス版の天橋立(砂洲)ではアザラシやいろいろな海鳥がみられる他、夏には海水浴や焚き火もできる。たまに鯨が見えることもある。

ブラッククリーク・マーヴィル

コートニーから19号線をさらに北上すると約30分でマウントワシントンのスキー場にアクセスできる。夏は山登り、マウンテンバイキング、冬はスキーで賑わう。19A海側の道路にはミラクルビーチ州立公園。周辺にはワイナリー、ウィスキー醸造所、オーガニック農場などが点在し、訪れてみると面白い。

コートニー市

5thストリート周辺がダウンタウンである。え、これだけ?という感じの小さな区域だが、劇場、アートギャラリー、博物館、レストラン、スペシャリティーの店などもあって歩くと面白い。甘いもの好きの方にはHot chocolateというお店が人気。5th通りと17th通りに橋があり、コモックスへのアクセスとなる。

カンバーランド村

19号線117出口で山側に向かうとカンバーランドである(この出口には新設されたインフォメーションセンターがオープン)。ハイウェイを降りてすぐに日系人、中国人の墓地跡があるので墓参したい。1942年に強制移動させられるまで、カンバーランドの炭鉱で働いた日本人が眠る。カンバーランド村はレトロな雰囲気の村である。炭鉱で栄えた1900年代初期には北米最大のチャイナタウンがあったというが、今は静かな山村。ダウンタウンには歴史博物館がある。ここからコモックス湖へ向かう途中に炭鉱跡があり、チャイナタウンとジャパンタウンの入り口がある。ほとんど何も残っていないが夏にはフキやゴボウが茂っているので、あぁここにも日本人が生きたのだなぁと感慨にふける。多くの散策道が整備されている。チャイナタウンの奥の森林はマウンテンバイクのメッカ。いろいろなレースが年間を通して催される。炭鉱跡からさらに道路を2キロほど進むとコモックス湖に行き止る。ストラスコナ州立公園の山々に囲まれた神秘的な湖である。キャンプ場があって夏のピークシーズンは賑やかだが、春先や秋は静かで荘厳なたたずまい。山登りの入り口もある。

(取材 ヒル厚子)

 

宿泊先・イベント情報など紙面ではご紹介しきれない部分はそれぞれのウェブサイトをご参照いただきたい。

http://comox.ca

http://www.courtenay.ca

http://cumberlandbc.org

http://www.discovercomoxvalley.com

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。