2018年12月20日 第51号

先月、オーストラリア政府よりワーキングホリデービザでの滞在期間が最長2年間から3年間に変更されると発表があった。(2018年11月5日)今までもワーキングホリデーをはじめとする各種ビザ要項の細部が変更されることはあったが、これほど大きな変更は世界的にも例がない出来事であり、日本のテレビでも取り上げられるなど大きな注目を集めた。今回は、2019年からの動向が注目されているオーストラリアとカナダのワーキングホリデーについて解説していく。

 

カナダ

 

ワーキングホリデービザとは

 ワーキングホリデー制度とは、日本と協定を結んでいる国(現在22カ国)に長期間滞在することができるビザ制度のことだ。2カ国間の相互理解を深めるための観光が主目的とされているが、滞在中は学校への通学や就労も許可されている、非常に自由度の高いビザとなっている。

 細部が異なる国はあるが、基本的には「①18歳以上、30歳以下、②日本国籍を所有している、③その国のワーキングホリデーを使用したことがない」が申請の条件だ。特に③の項目は重要で、同じ国に2回ワーキングホリデーを使って渡航することはできない。

 

実は細かく変更されているビザ要項

 実は大きく話題にされないだけで、ワーキングホリデーの要項は時折変更されている。最近ではフランスのワーキングホリデーの年齢制限が「30歳以下」から「29歳以下」に変更となった。このような変更に気付かずビザ申請を進めてしまうと、申請が却下されてしまうばかりか、最悪の場合パスポートに「傷」がついてしまい、今後の渡航にも影響を及ぼす可能性がある。ビザを申請する際は必ず最新情報を確認することが必要だ。

 

2019年7月より新しく開始される「オーストラリア ワーキングホリデー サードビザ」

 通常ワーキングホリデーを使って滞在できる期間は1年と定められているが、国によっては条件を満たすことで滞在期間を延長することが可能だ。オーストラリアでは以前より、政府指定の第一次産業に88日以上従事することで、追加で1年の滞在が認められる「セカンドビザ」が発行されていた。今回オーストラリア政府が発表したのは、セカンドビザ利用中に再度政府指定の第一次産業に6カ月従事することで、さらにもう1年の滞在が認められる「サードビザ」だ。(現時点ではまだ正式名称がない)

 今回サードビザが施行されるに至った背景には、オーストラリア国内の地方における労働者人口不足があげられる。オーストラリアは毎年多くの移民を受け入れているが、その多くは都市部に流れてしまうため、第一次産業(農業、畜産業)の人手不足は改善されなかった。そのため、サードビザを発行する条件に6カ月の従事を組み込むことで、労働力としてより多くのワーキングホリデー利用者を確保することが狙いだ。

 セカンドビザ、サードビザを取得するには、「政府指定地域」にて特定日数就労することが条件となっている。働いた後にビザ申請の条件を満たしていないことが発覚する事例も報告されているので、働き始める前にその勤め先がセカンドビザ、サードビザの取得条件を満たしているか必ず確認しよう。

 サードビザを取得するためには合計で9カ月間指定された職務に就く必要があるが、同じ場所・連続した期間である必要はない。都市を移動しながらファームジョブをこなすことで様々な体験を積むことができ、オーストラリア中に友達をつくることができる。また、英語力・異文化理解力・就労経験などグローバル人材に必要なスキルを高めてから3年目のワーキングホリデーを始められるため、1年のワーキングホリデーとは全く異なる、よりハイレベルな仕事に就くことも可能になるはずだ。

 

カナダのビザ申請時に必須となった「個人識別情報(Biometrics)」とは?

 個人識別情報 (Biometrics)とは、指紋など個人特有の身体特徴を認識するための識別情報のこと。移民や一時滞在者のビザ申請時に個人識別情報の確認を行い、危険人物や他人の旅券を偽造する成りすまし入国を防ぐことを目的に制定された。2019年からは日本人がカナダのワーキングホリデービザを申請する際にも、この個人識別情報の登録が義務化される。

 従来のワーキングホリデービザ申請の手順に個人識別情報の登録が追加される形だが、注意を払わなくてはならないポイントが2つある。

 ひとつ目が、時間の問題。オンライン上で個人識別情報の登録料(CAD$85)を支払った後、30日以内に個人識別情報の登録を各国のVAC(カナダビザ申請センター)にて行う必要がある。個人識別情報を登録しない限りビザ申請は続行されず、また、30日が過ぎてしまうと申請自体が不許可になってしまう。

 ふたつ目は、場所の問題。現時点では個人識別情報の登録は、カナダ国内では行うことができない。そのため、必ず日本を発つ前に登録をする必要があるのだが、日本国内にVACは1カ所しか存在していない(東京都港区)。また、VACでの個人識別情報の登録は予約制となっている。ビザ申請のピークシーズンは3〜5月とみられており、この時期は登録者が急増すると予想されているので、VACの予約や30日という時間制限に気を付けてプランを作る必要がある。

 すでにカナダに滞在していて、2019年以降カナダ国内でビザの切り替えを行う方に関しては、カナダ国外のVACに向かう必要がある。カナダから一番近いのはアメリカだが、登録自体はカナダ以外のどの国で行っても問題ない。(個人識別情報は登録後10年間有効なので、一度登録すればビザ切り替え時に再登録の必要はない)

 とにかく新しい取り組みであるため、2019年初旬のカナダのビザ申請は混乱が予想される。常に最新情報を確認し、わからない・確認が必要なことは、日本ワーキング・ホリデー協会をはじめとする団体、もしくはカナダ大使館へ問い合わせるようにしよう。

日本ワーキング・ホリデー協会連絡先:This email address is being protected from spambots. You need JavaScript enabled to view it.
カナダ大使館連絡先:This email address is being protected from spambots. You need JavaScript enabled to view it.

(記事提供 日本ワーキング・ホリデー協会広報 真田浩太郎さん)

 

カナダ

 

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ファームジョブ

 

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日本ワーキング・ホリデー協会広報の真田浩太郎さん

 

日本ワーキング・ホリデー協会新宿オフィス

 

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