リルエットまではバンクーバーからウィスラーを通って約250km。リルエットからはリトンやホープを通ってバンクーバーに戻ると約500kmのラウンドトリップになる。
今回はウィスラーを通ってリルエットまで行く道のりの中で、特にウィスラーからリルエットまでの道のりを中心に紹介したい。
ウィスラーを過ぎ、ペンバートンからカリー村に入ると“燃料チェック、次のサービス94km”の看板が立っている。燃料はたっぷり入れておこう。カリー村にはログキャビン製作所があるので、ちょっと立ち寄ってログキャビンの仮組みをしているのを見るのも面白い。また、10月下旬ぐらいまでなら紅鮭がカリー村の川を遡っているのを見ることもできる。
続いてリルエット湖の湖畔を過ぎてジョフリー湖まで急な坂道を登る。ここではローワージョフリー湖まで散歩をしてみてほしい。シー・ツウ・スカイエリアの宝石とも言えるローワージョフリー湖までは歩いて数分だ。
そしてリルエットまでは約70km。ダフィー湖から見える雪山と湖の景色も素晴らしいし、道路沿いの紅葉も目を楽しませてくれる。また、鹿がいることもあるので運転には充分注意しよう。そして道沿いにはレクレーションサイトもあるので、川のせせらぎを聞きながら小休止するのも良いと思う。
この道のドライブの中で特に注意してほしいのは木の橋のところだ。道路は滑らないのに、木の橋の上に乗った途端に車がスリップすることがある。橋の手前では充分減速しよう。当然だがスピードの出しすぎにも注意。リルエット近くでは渓谷の景色が素晴らしいところがあるが道路の横は崖だ。

 

さてリルエットだが、ここにはカリブーゴールドラッシュトレールのマイルゼロケルンがある。またこの地は翡翠の産地でもあり、BC州最初の翡翠鉱山があったところでもある。翡翠を求めて中国人も来ていたらしい。
リルエットのダウンタウンはちょっと西部劇の町並みっぽくて、そこにたつホテル兼レストランなども、かつてパイオニアたちの町だった面影をたたえている。
そしてリルエットだが、実は日本人と縁が深い。様々な理由があっただろうが、パイオニアとして明治時代にカナダに移民してきた日系人。悲しい歴史だが第2次大戦のときに、日系人250人がリルエットの南西、セトンポーテージ近くのサウスシャラルスという場所に強制収用された。その日系人たちのケアをするためにドクターミヤザキがその地に送られた。ドクターミヤザキは第2次大戦後もリルエットに残り、この地の発展に尽力した。ドクターミヤザキの住んでいた家は現在ヘリテージハウスとして保存されている。また、ドクターミヤザキ以外にもリルエットに残った日系人が多かったようで、セメタリーを訪ねたら、日系人の名前を容易に見つけることができた。
かつて収容所のあった地域は、BCレールでリルエットに行ったときに通過したが、後ろが急峻な崖、前はセトン湖という大きな氷河湖。夏も厳しかったことが想像されたが冬の厳しさは想像することもできなかった。


現在その地には先住民たちが住んでいるのだが、リルエットとセトンポーテージという場所を、カオハムシャトルというリルエットトレインが一日一往復だけしている。基本的にはセトンポーテージの先住民が午前中にリルエットまできて、午後帰るためのものだ。
ただ、金曜日だけは午前10時30分にリルエットをでて、12時のシャトルか2時30分のシャトルで帰ってくることができる(要予約)。金曜日以外であれば、セトンポーテージから車で戻ってくるしか方法がない。リルエットから65kmあるが、林道を通ってセトンポーテージまで行くことも可能だ。
また、作家の開高健がチョウザメを釣るためにリルエットのフレーザー川まで来たこともあるし、リルエットに住み着いた日系人がチョウザメを釣った写真などもリルエット博物館には残されている。もちろん現在でもリルエットではチョウザメを釣ることができるのだ。


また、ヨーロッパにルーツをもつ人が3年前にリルエットに初めてワイナリーをオープンした。フォートバーレンズというワイナリーだが、初めて3年で20個以上のメダルを獲得したとのこと。ここのワインには、馬に乗って北上するゴールドラッシュのラベルが貼られている。
現在はリルエットを中心に20km圏内にいくつかのワイナリーがオープンしているとのこと。まさに現在のパイオニアといえるのではないか?
オカナガン地区はたくさんのワイナリーがあることで知られているが、このリルエットを中心とした地域もワイナリーで知られる日が来るかもしれない。
日系人を含め、パイオニアたちの彩られた歴史を持つリルエット。晩秋の晴れた日に、是非ドライブ観光で景色を楽しみながらリルエットまで訪れてみよう。   

 

  (取材・写真 野口英雄)

 

リルエットのHP : http://www.lillooetbc.ca

リルエットの日本語HP : http://www.lillooetbc.com/Business/Invest-in-Lillooet/Japanese.aspx

フォートバーレンズ・ワイナリー : http://www.fortberens.ca

リルエットトレインについて : http://www.hellobc.com/en-CA/SightsActivitiesEvents/Tours%28GuidedGroupDriving%29/Trains/Lillooet.htm

予約電話番号 : 250-259-8300 メッセージを残しておくと電話が返ってくる。

 

 

 

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