2017年5月11日 第19号

世界中からの走者を歓迎するかのように澄み切った青空が広がった5月7日、46回を迎えるバンクーバーで唯一のフルマラソン、BMOバンクーバー・インターナショナル・マラソンが盛大に開催された。今年は65カ国から1万6千人近いランナーが参加。4千人のボランティアと歓声を送る多くの人たちでダウンタウンは熱気に包まれた。

 

 

車道を埋め尽くすランナーの波 Christopher Morris / RUNVAN® 

 

 非営利団体、バンクーバー国際マラソン協会により運営されている同大会は、フォーブス誌、CNN、 USAトゥデイなどから「世界のトップマラソン」として選ばれている世界的にも人気のマラソン大会。その理由はバンクーバーが世界に誇る景色。雪を頂きに残したノースショアの山々を背景に海が広がる美しい海岸沿い、公園には緑があふれ、遅咲きの桜が通りをピンクに染める。この景色を体験しようと、今年もまた日本からたくさんの参加者があった。フルマラソン、ハーフマラソン、8キロマラソンの完走者数名にゴールラインでインタビューを行った。

 

フルマラソン(42.2km)

 50歳〜54歳の部第1位、そして男女含めて総合で43位。2時間49分の好成績を収めた札幌から参加の作田徹さんは「バンクーバーマラソン初めてだけど、すごく気持ちよく走れた」と爽快な笑顔で始まり、「アップ・ダウンが多くコースはタフでした。でも、坂を登りきった後に見えた海が最高だった。一度バンクーバーに来てみたかったので大満足。また来年も来たい」と、フルマラソン完走直後とは思えないほどエネルギッシュに答えてくれた。実はもう1つ作田さんには満足していることがあった。作田さんはテリー・フォックスに共感し、その遺志を引き継ぐチャリティーイベント『テリー・フォックスラン&ウォーク札幌』を立ち上げている。「今朝(テリー・フォックスの)銅像に手を合わせてきました。テリー・フォックスLOVEです」と、テリー・フォックスに対する思いと完走の充実感で大満足な様子が印象的だった。

 今回でバンクーバーマラソンは9回目の田端洋介さんは「気温が上がらなかったので、今までで1番コンディションが良かった。パリ、ボストンと、この6週間でマラソンは3本目。バンクーバーは数年前からコースが海岸沿いに変わって、すごく良くなった、お気に入りです」。世界を走るランナーはとてもハツラツとしていた。

 今回インタビューした中では唯一、バンクーバー在住の澤田康代さんは企友会会長としても活躍している。「コンディションが最高でした。天気が良かったので、応援が多くてうれしい」と、8回目の完走に充実の笑顔。

 津留由紀子さんは日本からツアーで参加。「アップ・ダウンが小刻みに多くあって、辛かったので、期待していた景色をあまり楽しめませんでした。でも(ゼッケンに)名前が書いてあるので、名前で読んでもらったり『頑張れー』とか、日本の方にも多く応援してもらえて心強かった。ホノルルマラソンなどメジャーな大会も出場したことがありますが、ここは定員が5千人となっているので、ゆったりと走れるのが良かった」。

 津留さんと同じツアーで参加した山本喜代子さんは、フルマラソンが今回で70回目という驚きのベテランランナー。「コースがきつかったけれど、景色がすごく良かったので癒されながら走れました。スタンレーパークが特に素晴らしかった。マラソンを通して、これからも海外をまわりたい」。

 

ハーフマラソン(21.1km)

 ワーキングホリデーで訪れている山田拓路さんは、初めての国際大会、「応援が日本と違ってバンドがいっぱいあったりして愉快でした。次はフルマラソンに挑戦したい」。

 語学学校仲間と参加した亀井浩美さん。「アップ・ダウンが多くてきつかったけど、7月に帰国するのでいい思い出になった」。韓国から語学学校に通っているクム・ソンギョンさんは「人生初めてのハーフマラソンで、やりがいがありました」。藤澤庸祐さん「応援の仕方が様々で、とても楽しかった」。

 

8キロマラソン

 留学中の関戸恭子さんも「日本とは違う応援、特に楽器の演奏が印象的」。同じく留学中の足立悠介さんは「自然の中を走っているみたいで気持ちよかった」。

 今年からバンクーバーの高校に通っている曽我龍矢さんは高校1年生。「普段から毎日4キロぐらい走っているので、楽に走れた。海岸沿いの景色が、めちゃくちゃきれい!来年はハーフマラソンにトライしたい」と、疲れの色はまったくなく元気いっぱいに答えてくれた。

 日本からのツアーで知り合いになった砂原貴子さん、白鳥紀子さん、島崎奈保子さん。「フレンドリーな応援にすごく感動して涙が出そうになった。くせになりそうです」、「お祭り騒ぎな応援に乗せられる感じで、いつもより早く走れたと思う」、「楽器の演奏などの応援でテンションを上げてくれるので、1人でもくもくと練習している時よりも楽しく、楽に走れた」と3人の笑顔が絶えなかった。

 どのランナーも走りきった達成感からあふれ出る笑顔が印象的だった。5月の穏やかな青空のもと、ダウンタウンは走者とボランティア、そして応援の観客たちで高揚感に満ちた1日となった。

(取材 福安 恵子)

 

多くの日本人ランナーがフルマラソン完走

 

50歳〜54歳の部 第1位 作田徹さん

 

フルマラソン完走 田端洋介さん

 

フルマラソン完走 澤田泰代さん

 

フルマラソン完走 津留由紀子さん

 

フルマラソン完走 山本喜代子さん

 

ハーフマラソン完走 山田拓路さん

 

ハーフマラソン完走(左から)亀井浩美さん、クム・ソンギョンさん、藤澤庸祐さん

 

8km完走 (左から)関戸恭子さん、足立悠介さん

 

鉢巻と法被で8km完走 曽我龍矢さん

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。