古代文化の香り豊かな郷、奈良県明日香村。「日本の心のふるさと」、「大和魂の発祥の地」とされる、この明日香村を拠点に、演奏活動を続けている和太鼓グループがある。迫力ある演奏で、世界的に高い評価を受けている、「倭-YAMATO」だ。その「倭」が、1月〜3月にかけての全米&カナダツアーの一環として、初のバンクーバー公演を予定している。
メンバーは共同生活を送っているそうだ(Photo by Hiroshi Seo)
世界が絶賛する和太鼓グループ
「倭-YAMATO」は1993年に奈良県明日香村で4人のメンバーで結成。きっかけとなったのは、奈良県橿原市にある十市神社の祭りへの参加だったという。
そのときに演奏した曲が『日向(ひゅうが)』だ。かすかに日の出の光が差し始め、太陽すべてがその姿を現わす。新しい一日が始まり、夢のある素晴らしい未来を迎える、幸せと歓喜の曲だ。
結成の翌年には、早くも日本を飛び出し、中国で公演。4回の公演で2万人を動員した。続いて、インドネシア、韓国、シンガポールなどのアジア諸国でコンサートツアーを行った後、1997年には南米ツアー、98年には南米以外にもイギリス、スウェーデン、イスラエルでの公演と、年を追うごとに活動の舞台を広げてきた。結成から20年以上を経過した今も、拠点を明日香村に置いたまま、一年のうち半年から10カ月を海外公演に出ているという国際派だ。結成から23年。現在では世界53カ国、3000回の公演実績を誇り、日本のパフォーミングアーツ集団の中でも、倭の海外公演数は群を抜いている。
海外だけではない。20周年を迎えた2013年からは、本格的に日本ツアーも開始。2013年から2014年にかけて47都道府県制覇ツアーも敢行した。
倭の躍動感あふれる演奏は、見る人の五感を刺激する。「太鼓界のU2」との評を受けたこともあり、海外でも高い評価を受けてきた。これまでの公演での総動員数は600万人と、驚異的な数字を上げている。
独創性を追い求め
歴史ある土地、明日香村に住み、日本の伝統楽器、太鼓を演奏している倭だが、彼らが追い求めているのは独創性だ。バチ、楽曲作り、振り付け、演奏方法、衣装やメイク、照明デザイン、舞台セット、大道具、小道具…。楽器以外は全て、共同生活を営むメンバーが創り出すオリジナルだ。倭はこの独創により、和太鼓を舞台芸術にまで昇華させて、日本のみならず、世界中の人々を魅了してきた。
表現の中心となっているのは、動物の皮と樹齢400年の大木から造られた大太鼓を筆頭とする、数十台の太鼓だ。倭のメンバーは共同生活を送りながら、太鼓練習以外にも、毎日7時半から10キロのランニング、ウエイトトレーニングや基礎体力作りと、ハードなトレーニングを続けている。こうして心身を鍛えぬいたメンバー一人ひとりが、全身全霊のエネルギーを込めてパフォーマンスを繰り広げる。
パフォーマンスのダイナミックな鼓動を、倭では脈打つ生命の中心、パワーの源でもある「心音」として捉えている。和太鼓の音を通して、観客とパフォーマーの生命のエネルギーを交感、シンクロさせようとしている。
耳だけで聴くのではなく、五感を総動員させて楽しみたい。
倭-YAMATO 公演
Yamato, The Drummers of Japan
日時:2月6日(土)午後8時〜
会場: クイーンエリザべス劇場(Queen Elizabeth Theatre)
住所: 630 Hamilton St, Vancouver
Tel: 604-665-3050
チケット購入はTickets Tonightのウェブサイト(www.ticketstonight.ca)、 ボックスオフィス、もしくは電話で。
チケット料金: $115.00、$97.50、$77.00、$56.00、$33.00(サービス料込み)
◆ボックスオフィス
Tickets Tonight
200 Burrard Street, Plaza level(バンクーバー観光局⦅Tourism Vancouver⦆のビジターセンター内)
毎日9:00-17:00
◆電話: 604-684-2787
電話での購入は、追加の手数料5ドルがかかる
コールセンター営業時間
月〜金曜 7:00〜15:00 土曜12:00〜16:00 日曜休業
「倭-YAMATO」
1993年結成の和太鼓グループ。1年間の半年以上を海外公演に費やす一方、伝統を重んじる心の大切さを伝えると同時に、若い世代と革新に挑戦するエネルギーを感じ合いたいと、小中学校、高校での学校公演も行っている。
2016年は1月22日のカリフォルニア州での舞台を皮切りに、全米各地およびカナダではカルガリーやバンクーバー、トロントをツアーで訪れる。
代表は、太鼓音楽作曲家で演出家の小川正晃さん。「倭」で演奏される全ての曲の作曲、振付、舞台美術等を担当している。
(文:西川 桂子)
迫力いっぱい、ダイナミックなパフォーマンスに圧倒されること間違いなし(Photo by Hiroshi Seo)
衣装やセットなどはメンバーの手作りだという(Photo by Hiroshi Seo)
鍛え抜かれた心身がつむぐビート(Photo by Hiroshi Seo)
五感を総動員させて楽しみたい(Photo by Lucienne van der Mijle)
古くて新しい和太鼓の世界(Photo by Masa Ogawa)
独創性も魅力だ(Photo by Lucienne van der Mijle)