服部有吉(はっとりゆうきち)さん

2006~2007シーズンにアルバータ・バレエに入団した服部有吉さんは、東京都出身。6歳からクラシック・バレエを習い始め、13歳の時、ドイツのハ ンブルグ・バレエ団のスクールに入学する。1999年に研修生として同団に入団し、翌年はコールドバレエ、2003年にはハンブルク・バレエ団における東 洋人初のソリストになり、数々の舞台を踏む。2006年にカナダのアルバータ・バレエ団に入団。アルバータ・バレエでは『シンデレラ』のPuck役や『ロ ミオとジュリエット』『真夏の夜の夢』『くるみ割り人形』などを好演するプリンシパル・ダンサー。また、同団のコリオグラファーとして振付けも担当してい る。
「ハンブルグ・バレエ時代にはバレエの技術だけでなく、演劇の要素も学びました。そのせいか『蝶々夫人』のゴロウ役には芝居の要素も含まれていましたが、 楽しんで公演しました。今シーズンでアルバータ・バレエで踊って7年目になりました。カルガリーは芸術の世界の発展が目覚ましい町なので、様々なアート活 動に関わっていきたいです。これからはダンサーとして、そして、振付けの分野でも同団の作品をヒットさせていきたいです」と話す有吉さんは踊り手として、 そして、振付家としても才能を発揮している。

 

佐々木瑠菜(ささきるな)さん

今シーズンからアルバータ・バレエに入団した佐々木瑠菜さんは、神奈川県出身。6歳からバレエを始め、16歳でアメリカにバレエ留学し、ヒューストン・バレエ・アカデミーとボストン・バレエ・スクールでバレエを学ぶ。2011年のユース・アメリカン・グランプリの地区予選で1位となり、ニューヨーク開催の同グランプリで決戦出場を果たした。好きな演目は、『ジゼル』『ドンキホーテ』ジリ・キリアンの『ベラ・フィグラ』、バランシンの『フー・ケアーズ?』など。
「海外のバレエ団に入団したかったので、アルバータ・バレエのオーディションに受かって入団でき、とても嬉しかったです。今回の『蝶々夫人』のスズキ役は、入団して初めての公演での大きな役だったので緊張しました。カルガリーの町はアメリカに比べると交通機関が整っていて住み易いと感じます。同団でバレエ・ダンサーとしてスタートを切ったばかりなので、これから色々なことを吸収しつつ踊っていきたいです」若々しい笑顔と共にこう語ってくれた。

 

近藤麻理子(こんどうまりこ)さん

広島出身でナショナル・バレエ・オブ・カナダのスクール生のあと、ドイツのライプッヒ・バレエ、トロントのオペラ・アトリエを経てアルバータ・バレエ団員として6シーズン目の近藤麻理子さん。『眠りの森の美女』のオーロラ姫、『オセロ』のデスデモーナ、『くるみ割り人形』のこんぺい糖などがレパートリー。今回の『蝶々夫人』では、蝶々夫人役。『ファンブリング・トゥワーズ・エクスタシー』では夫を看取る妻役に扮し、さまざまな感情を余すところなく身体で表現していた。
「スクール時代からトロントで暮らしていましたので、カナダのバレエ団で踊りたいとアルバータ・バレエのオーディションを受け、入団しました。冬はとても寒いカルガリーですが、住めば都。最初は1年間の契約で住み始めたので、こんなに長く住むことになるとは思いもよりませんでした。毎日、自分が課した今日のバレエの課題をこなしながら、一歩一歩上達していきたいです」とバレエに対するひたむきな姿勢を語ってくれた。

 

石井明子(いしいあきこ)さん

今年でアルバータ・バレエで3年目の石井明子さんは、東京都出身。4歳でバレエを始め、17歳でアメリカのボストン・バレエ・スクールへ留学。その後、1年間ヒューストン・バレエ団の実習生をし、2011年にアルバータ・バレエ団に入団した。バランシンの『バロ・デラ・リジャイナ』『ジュエルズ』『バレルヤ!』、そして、2012年には『くるみ割り人形』のクララ役を好演している。
「以前アメリカのバレエ団で踊っていたので、いろいろな意味で安定しているカナダのバレエ団に入団したくてアルバータ・バレエのオーディションに挑みました。このバレエ団で踊れることを幸せに感じています。アメリカより演目のレパートリーの幅が広いカナダのバレエ団。特に同団はクラシックとコンテンポラリーの両方を踊れることが気に入っています。バレエで独り立ちするという夢を果たせて何よりです」と熱意溢れるコメントをしてくれた。

 

清水凌(しみずりょう)さん

若干19歳にして2013年3月にアルバータ・バレエに入団した千葉県出身の清水凌さん。母親が体操教室を開催していたスタジオのバレエ教室で10歳の時に「バレエをやってみようかな」と習い始めた。踊りを覚え始めると楽しくなり、毎日バレエの稽古に通い、熱心に練習した。15歳で出場したバレエ・コンクールで奨学金を得てモナコへバレエ留学。その後、熊川哲也氏のKバレエ、有明ニュー・シティーバレエ・スクールを経てアルバータ・バレエに入団する。
「20歳までにはバレエの仕事に就いて独り立ちしたいとバレエを始めた時から思っていました。アルバータ・バレエに入団して、その夢が叶いました。カルガリーはすでにとても寒く感じますが、治安もいいし、人々がとても優しくて気に入っています。このバレエ団で最年少なので、ジャンプや運動量の多い役もこなせます。これから、バレエで活躍していって、お客さんに自分のことを知ってもらえたら嬉しいです」とこれからの抱負を瞳を輝かせながら語ってくれた。

 

華やかな舞台に立つには地道な日々の稽古を積み重ねていく忍耐力が必要なバレエの世界。異国であるカナダで活躍する5人の日本人ダンサーのこれからが楽しみである。 (取材 北風かんな)

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