スキー・パトロールとは、スキー・リゾートでスキーやスノーボードを楽しむ私たちの安全を見守る仕事。オカナガンのスキーリゾートでスキー・パトロールとして働く和哉さんから話を聞いた。
2013年登山をしている和哉さん
—カナダに来た経緯は?
大学卒業後に一般企業に就職して一年半働きました。当時の会社のあまりの忙しさに嫌気がさして会社を辞めてワーキング・ホリデーに行くことを決意しました。その頃はカナダ、オーストラリア、ニュージーランドの3カ国しか選択肢がなく、卒業旅行で訪れたウィスラー、バンクーバーの印象が良かったのでカナダを選びました。
—カナダに来てからは?
バンフは旅行関係の仕事が多いと聞き、カナダ入国後すぐにバンフに移動しました。ワーホリのはじめ半年は旅行会社のガイドをしました。バンフは大自然に囲まれた素晴らしい環境で、ガイドの仕事でいろいろな場所を観ることができました。山登りをしたり、地元の人たちとサッカーをしたり、とても充実していました。でも、日本人コミュニティーでの勤務で英語はあまり上達しなかったので、当時の友達の紹介でBC州のネルソンでホームステイをすることにしました。
—カナダに残るきっかけは?
ネルソンのホームステイ先でカナディアン家族と暮らす内に「カナダ滞在を延ばしたい、もっと英語力を伸ばしたい」と実感し、バンフの知人の紹介で制作会社で働くことになりました。この会社には2008年3月まで勤務し、撮影絡みの仕事でニュージーランド、ヨーロッパ、アメリカと、いろいろな場所で撮影をしました。そして、転職して2008年4月から2010年3月まで主にビデオ・カメラマンとして働きました。2010年のバンクーバー・オリンピックでは、日本のテレビ局のお手伝いで音声マンをしました。
—現在のお仕事は?
これからカナダで長くできる仕事を考え、エマージェンシー・メディカル・サービス関係の勉強を始めました。アルバータ州で2010年11月 にEMRエマージェンシー・メディカル・リスポンダー、2012年7月、 EMTエマージェンシー・メディカル・テクニシャンの資格を取得しました。EMT 取得後は、アンビュランス・サービスに従事することを目標にしていました。ところが、なかなか上手く職を得られず、昨年の冬はフォート・マクマレー周辺のオイル・サンド開発現場のスタンバイ・メディックを短期間体験しました。2013年の夏はイベントなどのスタンバイ・ファースト・エイドを。そして、2013年の冬季にオカナガンのビッグ・ホワイト・スキー・リゾートでのスキー・パトロールに就くことができました。
—スキー・パトロールに就かれたきっかけは?
スキー・パトロールの仕事はアルバータ州のロッキー地区でも応募しました。ところが、すぐ他の人に決まってしまったり、高度なスキー技術が条件だったりして、なかなか就けませんでした。今回、職を得られたのは、このスキー・リゾートが家族向けリゾートであること。そして、アルバータ州で修得したEMTをBC州のPCP:プライマリー・ケア・パラメディックに書き換えたからだと感じています。現在の職務は、ゲレンデの安全管理、ゲストへのファースト・エイドの提供、また、ここで働く人へのファースト・エイドなどです。
—お仕事以外の趣味などはありますか?
山登りが大好きです。ハイキング、スクランブリング、ロック・クライミング、そして、バック・カントリー・スキーも最近始めました。夏は子供の頃からやってるサッカーもしています。
—これからの抱負は?
スキー・パトロールやファースト・エイドに就くことのできる資格は持っていますが、まだ実経験が少ないし、英語ももっと上達したいと思っています。このスキー・リゾートでファースト・エイドの経験を積み、英語力も鍛え、ゆくゆくはBC州、もしくはアルバータ州でアンビュランス・サービスに従事したいです。私は25歳でカナダに移住し、この国でさまざまな経験をさせてもらってきました。これからは、公衆のために役に立てるよう働きたいです。
2012年にバンフのカスケード山に登頂した和哉さん
カナダで長期的に働くことを視野に入れて資格を修得し、スキー・パトロールの職を得て経験を積んでいる和哉さん。これからの活躍が楽しみである。
(取材 北風かんな)