2020年4月30日 第14号
近年さまざまなアートが注目される中、カナダで「サンドアート」を広める活動をしている団体がある。Canada Sand Painting Association(以下、CASPA)だ。CASPAは2019年秋に、サンドアートをカナダ全土へ広めようとバンクーバーで活動を開始した。現在はCOVID-19の感染拡大防止のため、活動を控えているCASPAだが、サンドアートへの熱意が冷めることはない、創設者である浜田博明氏と津々良さつき氏に、サンドアートの魅力について話を聞いた(本インタビューはオンラインでおこなっています)。
サンドアートの作品。ガラスの容器は、グラス型(下2つ)や写真立て型(上2つ)などが用いられる
サンドアートってなに?
「サンドアート」にはさまざまな形があり、鳥取砂丘の砂の美術館に展示されているような砂を素材にした彫刻作品もあれば、砂で絵を描き物語を紡いでいくショーといったものもある。CASPAの広めるサンドアートは、ガラス容器の中にカラフルな砂を用いてアートを描くもので、子どもから大人まで楽しめるのが魅力のひとつだ。CASPAはベトナムの砂絵画法を用いており、粒子の細かい砂を使用するため、繊細な部分までアートで表現できることが特徴であるという。
ぜひ体験してみてほしい
浜田氏と津々良氏が口をそろえて言うのは、「ぜひサンドアートを体験してみてほしい」ということだ。CASPAの提供するサンドアートの魅力は、子どもから大人まで楽しめることだけではない。繊細な砂で作成するアートであるため、意図したところに砂を運べないこともあるが、逆にそれがアートの可能性を広げるとともに、作成者の個性として現れ、世界にたった一つの「偶然で必然なアート」が出来上がるという。「サンドアートは作る人の個性がすごく表れる、見ている人までもが楽しめるアート。ひとりでも多くの人に知ってもらえたら」と津々良氏は語る。
CASPAの社会貢献
CASPAはサンドアートの商品やキットの販売、ワークショップや本格的に学びたい人向けの講座の開催など、さまざまな形でサンドアートを広めており、売上の一部をベトナムの砂絵工房である「ヒ・ロン工房」へ寄付しているという。
浜田氏と津々良氏は、親元であるJapan Sand Painting Association(以下、JSPA)の代表理事、金子清氏からサンドアートの技術を学んだ。金子氏は10年以上、サンドアーティストとして活躍しているが、数年前にヒ・ロン工房の砂絵画法を現地で習得した。ヒ・ロン工房では、多くの障がい者が日々アーティストとしての腕を磨いていた。金子氏は指導をうける日々の中で、彼らの優れた技術と芸術性に魅了され、それらを世界に向けて発信しようと決意した。浜田氏と津々良氏はそんな金子氏に賛同し、バンクーバーでCASPAとして活動を開始した。CASPAもJSPAと同じく、売上の一部をヒ・ロン工房へ寄付しており、それらの寄付金は、主に障がい者の社会的生活を支援するために使われているという。CASPAは、アートを楽しむことがささやかながら支援につながるということを、ひとつのやりがいとしている。
CASPAはCOVID-19の感染拡大防止のため、現在はワークショップ等を一切おこなっていないが、SNSツールのインスタグラムで浜田氏の作品を週に数回アップロードしているそうだ。規制が緩和され次第、イベントが再開される予定。また、サンドアートを共にカナダ全土に展開してくれる人を現在募集している。
コンタクトはこちら。 This email address is being protected from spambots. You need JavaScript enabled to view it.
インスタグラム @sandart.caspa
(取材 わしのえりか)
CASPAの創設者、浜田氏と津々良氏