2019年11月7日 第45号
日本食品海外プロモーションセンター(JFOODO)が主催する日本茶プロモーションイベントが、10月23日、ブリティッシュ・コロンビア州バーナビー市のTraction on Demand社で開催された。北米でマインドフルネス瞑想が注目されている中、心と体を整えるマインドフルネス飲料としての日本茶の魅力をアピールするのが目的だ。この日はTraction on Demand社の社員対象に、講演と日本茶の試飲がおこなわれた。
日本茶に関する講演の様子
日本茶をもっと身近に
JFOODOは、日本産の農林水産物や食品のブランディングのために消費者向けプロモーションを担う組織として、2017年に設立された。海外消費者向けのプロモーション強化を通じて需要を喚起し、輸出拡大につなげる活動をしている。和牛、水産物、日本酒など7種類の対象品目のうち、日本茶に関しては昨年、今年と米国でプロモーションイベントをおこなっており、カナダでは今回が初めての開催となった。JFOODO事務局長の大泉裕樹さんは、このプロモーションについて、頭脳労働をする人たちを対象にし、日本茶をマインドフルネス飲料として紹介するものと説明した。日本茶に含まれるテアニンという成分にはリラックス効果があるといわれている。マインドフルネス瞑想は、自分の呼吸に集中し、「今」に意識を向けることで心を整えようとするものだが、これを日本茶を飲みながら実践することを提案している。「まず姿勢を正して、お茶をゆっくりと味わい、深呼吸をする、という3つのステップを踏むことで、マインドフルネスの効果を実感してもらいたい」と話した。
日本茶でマインドフルネス効果
Traction on Demand社はクラウドのコンサルティングやソフト開発などをおこなうIT企業。今回のイベントでは、ストレスやプレッシャーにさらされることの多い企業の社員に向けて、リラックス効果をもたらすものとして日本茶を紹介した。ゲストスピーカーのペドロ・ヴィラロンさんは、バンクーバーで「O-Five Rare Tea Bar」というお茶の専門店を経営している。自らを「ティー・ハンター」と称するほどのお茶の愛好家である。イベント参加者は、日本茶の歴史や製造法、効能などの説明を聞きながら、星野製茶園(福岡県)の「八女玉露」や辻喜(京都府宇治市)の抹茶「あさひ」を試飲した。すっきりとした甘さを感じる玉露や、水に溶かして飲む粉末タイプの抹茶など、いろいろな種類の日本茶を紹介していたのも興味深い。また、抹茶をその場で点てて、マカロンと一緒に供されたのも、ちょっとしたお茶席のようで楽しめた。講演後も熱心に質問する人の姿もあり、日本茶への関心の高まりを感じさせた。
JFOODOではTea in the Momentと題して英語のサイト(greentea-jfoodo.jetro.go.jp)を開設している。アマゾンのサイトに特集ページを設けており、上記サイトからもアクセスできる。
(取材 大島多紀子)
講師を務めたペドロ・ヴィラロンさん
テイスティング用の抹茶を点てるスタッフ