2019年10月10日 第41号

9月13日〜29日まで、ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー市内でVancouver International Flamenco Festivalが開催された。日本人フラメンコダンサーの金子友里恵さんが出演の「NuevoⅡ by Flamenco Rosario」は28日にバンクーバー市グランビルアイランドのウォーターフロントシアターで行われた。

先月金子さんにインタビューした「フラメンコの楽しみ方」を念頭に置き、記者は初めてのフラメンコ鑑賞のため、会場へ出向いた。224席の会場は満席であった。約70分のショーは、金子さんを含む5人のダンサーと、2人のギタリストおよび1人の歌い手で構成され、場面ごとに登場するダンサーが変わるというものだった。ダンサーは、裏打ち(足裏で鳴らす音)やパルマ(手拍子)だけでなく、フィンガースナップや手を脚で叩いて出す音など、異なる様々な音を作りながら、ダンスを披露した。観客席からは、たびたび「オレー!」と、それぞれのパフォーマンスを称賛する声が上がり、会場は盛り上がった。

 

フラメンコ・ショーの様子(中央:金子友里恵さん)

 

フラメンコのチームワーク

 弦の一本一本がきれいに鳴り響く2本のギターに、歌い手の力強くリズミカルな手拍子。そこへ金子さんら3人の女性ダンサーが現れ、踊りきるシーンはとても美しいものだった。歌い手の手拍子は、歌い手が目を見開くようにダンサー3人の動きを観察し、3人に共通するタイミングを見計らい、一拍一拍を全身全霊で作ったもののように感じられた。金子さんが先月のインタビューで言っていた、フラメンコの魅力・チームワークを感じられたその一場面がとても印象的だった。

 

金子さんインタビュー

・ショーを終えた感想は?

 すごく楽しみながら踊ることができました。メンバーの皆さんもすごく良い人たちで、リハーサル中も辛抱強く細かく指導してくれたり、私たちダンサーが踊りやすいように歌い手やギタリストがアレンジしてくれたりしました。個人的な反省はもちろんありますが、全体としては、素敵なショーを作り上げることができたと思います。

・練習で一番大変だったことは?

 限られた時間の中で仕上げなければならなかったことです。今回のショーは、ゲストとしてチリ出身のガブリエルさんを迎えてのショーでした。全員が揃い、リハーサルを始められたのが一週間前だったので、この一週間は仕事を休んでしっかり練習しました。50パーセントは事前に(一週間より前から)練習できましたが、後の50パーセントは、この一週間で習得しました。

 

 次の目標は、フラメンコの本場であるスペインで学ぶことだという金子さん。

 長年の夢に向かう金子さんの今後の活躍を期待したい。

(取材 大島多紀子)

 

ギターと歌に合わせて踊る金子さん。ソロで踊る場面もあった

 

ショーのゲストである、ガブリエル・アラグ氏。力強い演技で会場を魅了した

 

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