2019年8月15日 第33号
8月3日パウエル祭会場のアレクサンダー日本語学校で、和歌山県美浜町からの総勢19人の使節団「語り部ジュニア」が三尾の移民の歴史を紹介。会場を訪れた人たちとの温かい交流が行われた。
語り部ジュニアは小学5年生から高校生までで構成されている
移民史の伝承と地域活性化に
カナダ移民の町、美浜町三尾地区。「アメリカ村」の愛称を持つ同地域で、移民の歴史の語り部であった長老たちはもうほとんどいない。そこで積極的に若い世代へ地域の歴史を継承し、地域独自の魅力を発信しようと「語り部ジュニア」を2018年4月に結成。ジュニアの活動は美浜町の「日の岬・アメリカ村の再生とふるさと教育」プロジェクトの下、NPO法人「日ノ岬・アメリカ村」によって運営されている。三尾の魅力を外国人に伝えるための英語学習も活動の柱で、ネイティブスピーカーによる英語の授業も行われてきた。「毎週日曜日に集まり、ゲームを通じて英語やカナダの文化を学びました」(岩﨑俊介君)、「(活動の魅力は)地域の歴史に触れられること」(橋本行平君)とジュニアのメンバーは語る。
カナダ訪問で学びの成果を披露
カナダの人たちとの交流を目的に、一行は8月1〜6日の日程でブリティッシュ・コロンビア州を訪れ、羽鳥隆在バンクーバー日本国総領事、リッチモンド市のマルコム・ブロディ市長への表敬訪問、工野ガーデン、日系博物館、人類学博物館の見学、BC州和歌山県人会、バンクーバー新朝日軍との交流会などを行った。これらの手配を担当したのは、姉妹都市交流に注力している日本カナダ商工会議所だ。
カナダ訪問のハイライトはパウエル祭でのプレゼンテーション。一行のリーダーを務める柳本文弥さんは発表の前に「まだ途中ではありますが、これまでの活動の集大成を発揮してもらえたら」と本紙に語った。柳本さんをはじめ引率者が見守る中、ジュニアたちは自主制作したスライドを英語で発表。そして英語の動画を上映した。どれもジュニア自身が三尾の魅力はどこか、どう伝えたらいいかと考え準備したものばかりだ。発表からは三尾地区にあるカナダ資料館や洋館のカフェレストラン、龍王宮や美しい海岸などの地域資源、三尾出身の祖先を持つカナダ人訪問者との交流、チャウメン作りなどのジュニアの活動の姿が生き生きと伝わってきた。発表を終え、ジュニアの小串楓子さんは「活動が週に1度という限られた時間ではあったけれど、今まで練習や準備をたくさんしてきてその準備したことを精一杯できたかなと思います」と満足そうな笑顔で語った。
(取材 平野香利)
羽鳥隆在バンクーバー日本国総領事を表敬訪問 (写真提供 サミー高橋さん)
BC州和歌山県人会の人たちに移民の歴史を尋ねる語り部ジュニアたち(写真提供 サミー高橋さん)
パウエル祭でプレゼンテーションに用いたスライドと動画は、内容から制作まで自分たちの手で行った
プレゼンテーションの最後には参加者と共に三尾房州音頭を踊って締めくくった