2019年8月8日 第32号
「お元気ですか」と尋ねると「元気ではないです」という微笑の伴う答え。晩年のゴードンさんは闘い抜いた老兵のようだった。そう、86年の大半を日系社会の福祉に捧げた人なのだ。
1960年以来のお付き合いだった。その後、ゴードンさんと私は夫々仕事で忙しく、久しぶりにお目にかかったのは日系センターが完成して、お祝いの行事があった時のこと。私達一家は建築費用カンパのために寄付を募る手紙を書くよう依頼され、その手紙は日系人の家庭に送られた。そのご縁で私はその席に居たわけで、ゴードンさんは私に気付いて話しかけて下さった。その後2016年に慰安婦像設置の問題が起きた時ゴードンさんを筆頭に期成同盟が結成され、私もそれに加わって像設置反対の署名集めをした。2年後、南京虐殺記念日制定が或る国会議員によって提唱され、私は又ゴードンさん率いる反対運動に加わった。
一見紳士的な人で、実際に紳士であったが、心髄に確固たる信念を持つ人、日系人の尊厳を大切にする人、日系人全体の福祉という観点から外れることのない人だった。
今後の日系社会に私心なく尽くす第二のゴードン門田の出現を切望する。
(パーカー敬子)