2017年8月10日 第32号
結成15周年を迎えたバンクーバー・メトロポリタン・オーケストラ(VMO)が9月10日、バンクーバー市内ブリティッシュ・コロンビア大学(UBC)内のチャン・センターで記念コンサートを開く。ハイライトはバンクーバー・バッハ合唱団が加わるベートーベンの『第九』。スケールの大きな『歓喜の歌』で今シーズンを開幕する。
バンクーバー・バッハ合唱団
音楽祭でヒントを得て
2002年、札幌で開かれた『パシフィック・ミュージック・フェスティバル』で副指揮者を務めたケン・シェさんにはある構想が浮かんだ。21世紀を代表する指揮者・作曲家のレナード・バーンスタインによって創設されたこの音楽祭は、世界でも有数の音楽指導者が若手音楽家を育成するプログラムである。「レベルの高さに衝撃を受けました」
同年、16人の団員でVMOが結成され、ショーナシー・ハイツ合同教会で初めてのコンサートを開催し大きな反響を呼んだ。初代メンバーのドミニク・ウーとイベット・キム(ともにヴァイオリニスト)がソロ演奏をし、以後日本から遠藤真理(チェロ)、川久保賜紀(ヴァイオリン)、近藤薫(ヴァイオリン)らを招いた。
現在VMO副指揮者を務めるケミュエル・ウォングさんは「2010年より譜面の調達と管理をしています。オーケストラの指揮など貴重な経験をしています」と話す。
夢は専用ホール
「VMOはプロを目指す若い音楽家を集めたトレーニング・オーケストラで、私は長年コンサートマスター指導者としてお手伝いしています」と話すのはバンクーバー交響楽団終身名誉コンサートマスターの長井明さん。その後、年間コンサートの回数も増え、ダウンタウンでの野外コンサートでは多くのファンをつかんだ。
「現在、ポップスからオペラ、バレエ、交響曲など幅広く演奏しています。いつかVMO専用のホールを持つことが夢です」と音楽監督・首席指揮者を務めるケン・シェさん。
バッハ合唱団と第九
2011年に大阪センチュリーホールでの『21世紀の第九』のバトンを佐渡裕から引き継いだ。「第九はコントラバス、ティンパニーといったサポート役の楽器が活躍するところが画期的で、第4楽章で『歓喜の歌』の旋律が流れ合唱が加わるとクライマックスを迎えます。聴きどころのたくさんある最高傑作です」
長井明さんも「ベートーベンの交響曲第九番『合唱付き』は、日本では年末に全国のオーケストラが演奏します。1年間の締めくくりに『歓喜の歌』を聴いて祝福し新年を迎えます。VMOの15周年記念オープニングに最もふさわしい曲だと思います。たくさんのご来場をお待ちしています」と話している。
(取材 ルイーズ阿久沢 / 写真提供VMO)
バンクーバー・メトロポリタン・オーケストラ 15周年記念コンサート
9月10日(日)2:00 PM(コンサート・トーク1:30PM)
UBC内Chan センター 6265 Crescent Rd, Vancouver, BC
指揮:ケン・シェ
バンクーバー・バッハ合唱団(合唱ディレクター:レスリー・ダラ)
交響曲第九番『合唱付き』(ベートーベン)、世界初演作品(トレバー・ホフマン)
チケット:$48 - 78(学生・シニア$28 - 58) tickets.vmocanada.com
問い合わせ:This email address is being protected from spambots. You need JavaScript enabled to view it.
電話 604-876-9397
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VMO音楽監督・首席指揮者ケン・シェ