2016年9月15日 第38号
バンクーバー市のポリゴンオフィスで9月8日、ブリティッシュ・コロンビア州に生息するグリズリーベア(日本名:ハイイログマ)の長期的な繁栄を目的とした非営利団体・グリズリーベア保護財団を発足する、と同財団の会長であるマイケル・オデン氏が発表した。
グリズリーベア保護財団会長 マイケル・オデン氏
マイケル・オデン会長は、「かつては、北米の全土に渡っていたグリズリーベアの生息が、現在は、ほぼBC州とアメリカはアラスカ州に限られている。BC州には継続可能なグリズリーベアが存在しているのだろうか?と問うと、政府は『存在している』と答えるが、私たちは住民やファーストネーション・コミュニティ、科学者にもグリズリーベアの状況について質問していきたい。そしてまた、人間社会とグリズリーベアが、どのようにしたらお互いに害を与えることなく、かつ豊かに暮らせるのかも探っていきたい」と同財団の目的を説明した。
そして、「BC州の中には、グリズリーベアの個体数が安定しているところもあるが、絶滅してしまっている地域もあると聞いている。趣味としての狩猟や、生息地の分裂、食料の減少、人間の都市開発、と原因は多岐にわたるであろうが、グリズリーベアの長期的な繁栄を目指すには、まずどうすればいいのかを探るために、専門家や住民の方々からも意見を募り調査を進めていきたい。私は、この素晴らしい動物に畏敬の念を抱いている、と同時に、グリズリーベアの将来について懸念も抱いている」とも述べた。
財団の委員会はまず一般公聴会を9月からBC州の6カ所で開き、調査を始める予定。来年の2月をめどに、集められた情報をもとに州政府へ意見書を提出する。
ことしの3月ウィスラーにオデン美術館をオープンしたことでも知られているマイケル・オデン氏。その情熱は芸術だけにはとどまらない。「食物連鎖の頂点に立つグリズリーベアの生存数は、BC州全体の生態系の健全さを示す。そのような理由から、グリズリーベアを大切にし、保護していくことはとても大切である。もっと以前から活動を開始するべきだったが、これからでも遅くはない」とマイケル・オデン会長。
グリズリーベアに的を絞って活動する団体としては、これがカナダ初である。
(取材 福安 恵子)