「とりあえず定期預金に入れておけば安心」と思っている人はいないだろうか？実は今日の低金利局面で は、利子がインフレ率より低い場合も多く、定期預金などで運用していたのでは、将来必要な十分な資金を確保できないというリスクが発生する。どうすれば虎 の子の資金を効率的に増やせるのか。そんな相談に乗っているのがファイナンシャル・アドバイザーの小林ヒロコさんだ。投資信託や保険商品から、それぞれの 顧客にあった商品を提案している。

●安全なカナダの投資信託
投資信託（Mutual Fund）と聞くとリスクが高いイメージがあるが、北米では多くの人が投資信託で資産運用している。そのため大資産家などが行うヘッジファンドとは違い、 法律で厳しく規制されており安全性もかなり高い。しかも定期預金よりはるかに利回りがいい。「皆さんが一生懸命働いて貯めたお金を運用するわけですから、 安全でなくてはいけません。分散投資を行うのでリスクは軽減されます」と小林さん。自分で株や外国為替を運用し、その利益を投資信託に預ける人も多いとい う。

理由は安全性。金融に詳しい人が、自分で株や為替取引を行うより、投資信託でプロのファンドマネージャーに運用を任せた方が安心確実と認めているわけ だ。カナダの投資信託の過去30年の平均利回りは約13％。去年は中国物が好調で、100％以上の利回りを出したファンドもあるという。

小林さんが現在扱う投資信託は、カナダにおよそ3000あるといわれるファンドの中から選りすぐったもの。各顧客の状況やニーズに合わせ、その人に最適 な商品を紹介する。永住権を持っていなくても、カナダにいる日本人なら投資信託は購入可能だ。元来カナダでは公的年金への依存度は低く、今や日本の国民年 金もあてにはならない。誰もが老後を見据え、自分で資産を効率よく運用する必要に迫られている。そんな人たちの手助けをするのが小林さんの喜びであるとい う。

●至れり尽くせりの個人年金保証プラン
今、小林さんが力を入れているのが個人年金。特にカナダ最大の金融会社がカナダで初めて発売した個人年金保証プランが現在一番の人気商品だ。投資信託と 保険機能が合体した商品で、退職した後、収入を生涯保証し、死亡保障もある。しかも毎年、15年間のボーナスつき。市場情勢によっては損が出る可能性があ る投資信託だが、この商品にはリセット機能がついており、値上がり益を元本として確定する。至れり尽くせりのこの商品は、カナダ最大の金融機関が発売して いる。長期化する老後の年金資金を生涯保証するという今までにまったくなかったもので、発売から一年もたたないうちに、20億ドルもの資金を集めた。

団塊の世代が定年退職する時期を迎え、老後に不安を持つ人向けの商品をいち早く紹介している小林さんは、カナダでの投資は非常に魅力的だと語る。「カナ ダには日本と違い石油、天然ガス、鉱物資源が豊富で、経済は非常に堅調です。米国経済、米ドルが現在不調なのは過去における米ドルの発行過多によるところ も大きく、カナダにはそのような不安要素もありません。日本は経済がまだ不調ですから、投資するなら断然カナダがお勧めです」と小林さん。

●グローバルな視点からアドバイス
投資にもいろいろな方法がある。例えば自分の資金を使わずローンとして借り入れたお金を投資に回すレベレッジ投資。現在ローンの利率は６％ほどだ。毎月 インカムを支払う平均利回り18％〜20％のファンドに入れれば、投資の利回りで十分ローンの利息を補うことができ、その残りをまた運用に回すことができ るという方法だ。毎月、小額を積み立てるより、最初にローンをして一定の大きな額を一時払いで投資した方が、実は投資効率が数段高いなど、よりよい投資方 法をアドバイスするのも、小林さんの仕事の一つだ。

「金融はグローバル」と語る小林さんにとって、常に世界のマーケットを観察、把握するのは自然なことであり、楽しみでもあるという。マーケットだけでな く、顧客の状況も時間を経て変化するため、その動向を常に把握することは欠かせない。老後に向けた資金運用だけでなく、さまざまな金融状況に関して相談に 乗る小林さんは、そのときの状況だけでなく、常にグローバルな視点から考察しアドバイスを行う。その経験と確かな知識に裏付けられた言葉には説得力があ り、電話があればすぐ駆けつけるという「お客様第一主義」が、小林さんの信頼を高めているように感じた。


（取材　青木美子）