澄んでいるがコクたっぷりなスープが中太ちぢれ麺にしっかりからむ。かみごたえのある麺にとろっとしたチャーシューのコンビネーションも絶妙だ。1月20日にオープンした三宝亭は「本格醤油ラーメン」がウリの新潟発ラーメン店である。

 

スープは鶏ガラとトンコツがベースだが、トンコツはグツグツ煮立てず、弱火でうまみだけを引き出して。チャーシューは炙って香ばしさをプラス(写真は新潟醤油ラーメン+味付け卵)

 

伝統的な醤油ラーメンで勝負

 ブリティッシュ・コロンビア州リッチモンド市のアバディーンセンターとパーカープレースの中間に位置する三宝亭。のれんをくぐると、ハイセンスで落ち着きのある空間に、“お一人様”でも座りやすい囲炉裏型の席、仲間で集いやすいボックス席、普通のテーブル席がある。お品書きは、一押しメニューの新潟醤油ラーメン(11.5ドル)から、濃厚煮干しつけ麺(12.5ドル)、濃厚鶏味噌ラーメン、チャーシューどんぶり、鶏肉の唐揚げ、おでん、サラダと続く。ドリンクメニューには、普通の飲み物のほかに、新潟発の日本酒である萬寿鏡、大吟醸吉乃川、八海山の名が連なっている。

 

新潟の持ち味を 生かして

 若きオーナーのジェニファー・ヤップさんは大のラーメン好き。日本各地のラーメンを食べ歩いて見つけた店が新潟・三宝亭ラーメンだった。そこからカナダでの出店の計画を始めて2年で開店にこぎ着けた。この新店舗スタートを見守っていたのは、三宝亭を含むレストランチェーン店を経営する金子博信さん。三宝亭カナダ上陸に寄せての思いをこう語った。「海外に広まっているラーメンはトンコツが主流の印象ですが、日本の上品な醤油ラーメンの味もぜひ味わってほしいと思いました。コクのあるラーメンならば受け入れられるはずだと思ってチャレンジしています。大事な麺作りのためには、日本から製麺機を運んで店内で作っています。どんぶりメニューに使っている米は、新潟の減化学肥料、減農薬(共に50%カット)の米です。その玄米を運んでこちらで精米して出しています」。その米で炊いたご飯は、つやつやで米一粒一粒の味が際立っていて完璧なうまさだ。「ぜひご飯だけのメニューも作ってください!」と記者は思わずリクエスト。開店の助っ人として同席していた当地の日本食レストランのオーナーも大きくうなずいていた。

 

日本のサービスを提供

 スタッフの90%は日本人だという。時間をかけての研修でスタッフが学んだことは顧客第一の姿勢。広々とくつろげる空間で本格ラーメンを堪能し、日本流のサービスを受けられる店として人気の店舗になりそうだ。

(取材 平野香利)

 

本家・新潟三宝亭チェーン店オーナーの金子博信さん(写真左)とリッチモンド店オーナーのジェニファー・ヤップさん(写真右)

 

特製の中太麺は「もう1度あの歯ごたえを!」と思わせる魅力十分

 

日本情緒を醸し出す囲炉裏型の席は向い側との距離もたっぷり

 

外装内装の多くを日本から輸入。ハイセンスな空間はデートにもおススメ

 

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