アクセスも便利な、リッチモンド中心部にオープンした「家家家」
ラーメン好きに朗報!
1970年代に横浜で生まれた「家系ラーメン」は、とんこつ醤油ベースのスープにやや太目の麺、基本のトッピングは海苔、ホウレンソウ、チャーシューというスタイルが特徴。極上のとんこつスープに、チー油(醤油ダレ、ネギとニンニクで炊いた鳥の脂)を加えた独特のスープが多くの人から評価を受け、その人気は関東一円から全国へと広がっている。 その「家系ラーメン」を5店、東京で展開している小室幹夫さん。今回、小室さんはジェネラル・マネジャーとして、「家家家」チェーンの記念すべき北米第一号となるリッチモンド店の立ち上げのために、同店オーナーのジョン・リンさんとともに奮闘してきた。
こざっぱりとした店内の様子
日本の味を、世界の人に
小室さんは修行していた横浜のラーメン店から独立。東京都目黒に第一号店をオープンして以来、東京都内にラーメン店を展開してきた。ラーメン激戦区とも言える東京で、日本人だけではなく、中国人を初めとするアジア圏の人にもラーメンが受け入れられていることに小室さんは着目。ラーメン店が供給過剰にある国内よりも、海外進出を考え、北米でも特にアジア人の割合が高い当地ならば、ビジネスの立ち上げがうまく行くのではと考えた。 また日本で8年間、レストラン業界で働いた経験のあるリンさんも、大のラーメン好き。東京にいた頃は、いつもラーメンを食べ歩いていたそうだ。そんなリンさんは日本で働いている時から、いずれは自分で日本食レストランを開きたいと夢を抱いていた。 そんな二人が出会い、今回のリッチモンド店オープンの話が現実のものとなった。
これぞ「家系ラーメン」。追加トッピングの味付卵も美味
コクと、深みのあるスープ
メニューの基本は醤油、塩、味噌ラーメンだが、「家系ラーメン」の真髄ともいえるのがとんこつ醤油スープなので、店のおすすめは「醤油ラーメン」。味は「濃いめ」、「ふつう」、「薄め」から選べる。 そのほか、麺の茹で加減も「固め」、「ふつう」、「軟らかめ」、油も「多め」、「ふつう」、「少なめ」、チャーシューについても「脂身あり」、「脂身なし」から選ぶことができる。 普通のとんこつスープに比べ、醤油による味の深みと、チー油による味わいが食欲をそそる。まろやかなチャーシューの味付けも程よく、ついついスープも最後まで飲み干してしまうおいしさだ。 海外でも日本と同じ味を出すには困難もあったと小室さんは話すが、一緒に店の立ち上げを手伝っている、「家家家」飯田橋店店長の小山俊介さんとともに工夫を重ね、今では自信をもって提供できる味になったという。
「家家家」を切り盛りする(左から)小室幹夫さん、ジョン・リンさん、ワーホリの井内未来さん。井内さんはワーホリ滞在中、北米のみならず南米までも旅行してみたいと、大きな夢を持っている。
お客様を大事に
日本の味そのままを、お客様に楽しんでもらうのが小室さんの目標だが、やはりお客様あっての商売。同じアジア系であるとは言え、カナダで生まれ育った若い人の味の嗜好に対応する必要があるかもしれないので、そこは勉強していかなければと、小室さん。「やはりお客様あっての商売ですから」と、常に顧客からの立場を忘れない。 「お客様を大事に、まじめに商売をしていれば、わかってくれる」と話す小室さんからは、長年顧客に受け入れられてきたラーメン作りへの確信が感じられた。
(取材 平野直樹)