2017年2月23日 第8号
今月は娘の誕生日だった。母親や父親の立場にいる人たちは、子供の誕生日が近づいてくると、何を一番先に考えるのだろう。やはり子供に渡すプレゼント?今年はどこでお誕生日会をしようかな?ケーキは手作りにする? 学校のお友達は何人まで呼ぼう? ルートバックはどうしよう? 年に一度の愛する子供の誕生日だけあって、どう祝おうか、そのことで頭がいっぱいになるかもしれない。
私は、毎年、子供たちの誕生日が近づくたびに、妊娠中の過酷なつわりや、大好きな寿司を食べれなかった妊婦生活、想像を絶する痛みを伴った出産など、お腹の赤ちゃんを責任もってこの世に産み出した10カ月を「本当によく頑張ったなー」と振り返る。だから子供の誕生日に子供だけを盛大に祝い、あんなに頑張った私の10カ月について全く触れない夫に対して、ふと私の払った体と心の犠牲はすでに忘れられてしまったのだろうかと思ってしまう。
子供を産むというのは、妊娠中を含めその後少なくとも1年は女性にとって心身共にストレスの多いものである。大切な命を授かった女性の体は、妊娠中から出産後も変化し続けるし、ホルモンバランスの関係や睡眠不足なんかで精神的にも影響が現れる。
母親の払う犠牲は心身共に大きい。ただ私たち母親はそれをあえて言わないだけに(いや、忙しすぎていちいち覚えている暇がない!)あまり感謝されない立場になりさがってしまうように思う。今度、子供の誕生日がきたら、子供を祝うことも大切だけど、そんなあなたの宝物を大切にお腹の中で育て産んでくれた妻に感謝することも忘れてほしくないな。夫からのたった一言の「ありがとう」がきっと心に響くはず。
■小倉マコ プロフィール
カナダ在住ライター。新聞記者を始め、コミックエッセイ「姑は外国人」(角川書店)で原作も担当。
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