2020年3月19日 第12号

 タイトルを見てお気づきになったと思いますが、コロナウイルスの拡散予防対策として、なんと2週間にわたり「自己隔離(self-isolation)」をすることになりました。それというのも、北米全体でのコロナウイルス感染者数がまだ多くなかった3月6日に、メキシコのカンクンへ家族旅行へ出発したものの、現地滞在中にイタリアやスペインをはじめとするヨーロッパ各国と米国で感染者が急増。3月11日には世界保健機構(WHO)が新型コロナウイルス感染症を「パンデミック」とする声明を発表。3月12日にはブリティッシュ・コロンビア州政府が、不要不急の渡航を控えるとともに、米国を含むカナダ国外から帰国した者は、2週間の自己隔離をするようにと呼びかけたため、3月15日にカナダに戻った私は自己隔離せざるを得なくなりました。実際にコロナウイルスに感染したわけではありませんので、今のところ私も妻も子供達も健康なんですが。

 仕事の面では、いち薬局のマネージャーがホリデー明けに、更に2週間も仕事を休むことになったので、残されたスタッフは大変です。2月下旬に、カナダ連邦政府の保健大臣であるPatty Hajdu氏が、「非常事態に備えて常用薬や食料・日用品を備蓄するように」と呼びかけてすぐに、多くの人々が食料や薬を求めて薬局へ押しかけ、結構大変でした。その後は少し状況が落ち着いたかと見えましたが、それも束の間。私はメキシコ滞在中も、電話やEメールで薬局の様子をチェックしていましたが、WHOのパンデミックの声明が出たあとは、「薬局は超混雑しています!」と言ってきた勤務先のスタッフ。状況を改善するために、少しでも仕事をしたい気持ちはやまやまですが、本社は自宅待機の指示。この先2週間も、家から電話やメール等で限られた仕事をするしかありません。

 ところで、更なる状況の悪化に備えて、常用薬を早めに購入しようとしても、保険の問題がつきまといます。通常、BC州の公的保険であるPharmacareや民間保険は、特に慢性疾患の治療薬に関して、購入した薬のある程度の割合を消化しないと、リフィルの費用がカバーされないようになっています。例えば、ファーマケアの場合、90日分の薬を購入した人は75日分を飲んでから、つまり手元の残薬が14日分になってからでないと、リフィルが保険負担の対象となりません。これと同様に民間保険でも、特定の消化日数が指定されている場合がほとんどです。

 しかし、BC州薬剤師協会(BC Pharmacy Association)は、コロナウイルス感染拡大禍の特別措置として、薬剤師が特定のコードを入力をして、早めのリフィルの保険負担を有効にし、リフィルの切れた薬については薬剤師による処方せんの延長することとしています。更に一定の条件を満たす場合には積極的にエマージェンシー・サプライを提供するなどして患者さんに対応するようにと、各薬局に通達しました。

 今はどの薬局でも、質問するにも、薬を買うにも、普段よりも格段に長い待ち時間になっていると思いますが、その待ち時間を計算に入れながらも、薬のことで困ったら、かかりつけの薬剤師にご相談ください。

 この原稿を書いているのは、3月16日の朝10時半。妻のソフィー夫人が新型コロナウイルスの検査で陽性反応を示したため、自身もコテージで自己隔離しながら仕事を続けているトルドー首相の記者会見を聞きながら、この原稿を仕上げています。トルドー首相は、医療機関の負担を軽減し、また本当に医療が必要な人にケアが行き届くよう、協力していく必要があることがあると述べられました。カナダ市民や永住権所持者、米市民、外交官、航空関係者を除く一切の渡航者のカナダへの入国を禁じると発表しました。また、カナダ在住者が帰国した際には、2週間の自己隔離を徹底する必要があること、国際線の乗り入れをトロント、モントリオール、カルガリー、そしてバンクーバーの4つの空港に限定することなどが発表されました。日本よりもはるかに厳しい規制が敷かれることになるわけですが、カナダ人は助け合いの精神を持ってこの難局を乗り切るのであるという旨の、“We pull together. We take care of each other.” というコメントは非常に感動的でした。今後のコロナウイルスと世界の動向から目が離せません。

追記:3月18日のアップデートでは、米国・カナダ間の往来も遮断。 

 


佐藤厚

新潟県出身。薬剤師(日本・カナダ)。
2008年よりLondon Drugs (Gibsons)勤務。
2014年、旅行医学の国際認定(CTH)を取得し、現在薬局内でトラベルクリニックを担当。
2016年、認定糖尿病指導士(CDE)。

 

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は今号をもちまして終了いたします。

しかし、日系コミュニティーに支援されて41 年余り続いてきた新報を存続させたいとの思いから、オンラインによるウェブサイトでの情報発信を継続することになりました。

SNS を含むオンラインは、弊紙で記者をしておりました三島直美と西川桂子が、責任者として引き継ぎ新体制で再出発する予定です。

今後も引き続き、ウェブサイトの閲覧をよろしくお願いいたします。