2018年8月16日 第33号

先月、短い期間でしたが、夏の日本へ一時帰国してきました。そこで今回は、少し趣向を変えて、薬剤師的な旅日記を綴ってみようと思います。

到着したのは関西空港のはずなのに?

 最近の日本の空港は外国人観光客で溢れかえっていて、空港に着いただけでは、それが本当に日本国内なのか判断できない状態になります。観光庁の統計を見ると、2011年には622万人であった訪日外国人旅行者の数は、2017年に2869万人に達し、観光庁は今後更に官民一体となった訪日プロモーションを実施することで、2020年には4000万人の訪日外国人旅行者を迎えることを目標としています。これだけの人が国境を越えて移動するとなると、渡航医学に携わる人間として常に気になるのは感染症の動向です。2016年8月には関西空港勤務者の間で麻疹が集団発生し、今年3月には、台湾からの旅行者が持ち込んだ麻疹が沖縄を中心に流行したばかり。私の今回の渡航に際して、そのような問題は見受けられませんでしたが、今後の動向が注視されます。

話は聞いてはいたけれど…

 日本は、とても暑かったです。日中の蒸し暑さを表す不快指数は非常に高く、「ほとんどの人が不快と感じるレベル」から「猛烈な暑さで、屋外にいられないレベル」という毎日。私は中学生から大学生までテニス部に所属し、必然的に夏でも屋外にいる時間が長かったので、比較的日本の夏の暑さには強い方だったかと思いますが、それも今となっては昔の話。現在の日本で、夏にテニスをするだなんて考えられません。またこの暑さは世界的なもので、その道の専門家によれば「ホットハウス・アース現象」だとか。

旅行の際には欠かせない薬

 学会に参加するため、大阪南港から愛媛県の東予港へ「オレンジフェリー」を使って移動し、その後連絡バスを使って愛媛県松山市に入りました。私は非常に乗り物酔いしやすい体質なので、吐き気止めであるGravol(成分名Dimenhydrinate)を常に必要以上に携帯して旅行しますが、この日の瀬戸内海は非常に穏やかで、特に大きなトラブルはありませんでした。また、時差ボケには「メラトニン(Melatonin)」というサプリメントが有効であると言われますが、私は今回の旅行では持参しませんでした。カナダから日本のように、西向きに移動した際に生じる時差ボケは、薬やサプリが無くても対処しやすいからです。一方、日本からカナダに戻るときのような東向きのフライトでは、到着地における時差ボケは非常に厄介になります。東向きに旅行する際、私は医師に少量の睡眠薬を処方してもらい、携行するようにしています。

やはり日本といえば

 愛媛県松山市といえば、日本最古の温泉の一つである道後温泉が有名です。予定されていた2日間の学会を終えた後、他の参加者と温泉に向かいました。暑い日本で、熱い温泉につかることは予定外でしたが、折角なので入っちゃいました。そして、とても気持ち良かったです。そして、汗を流したあとの水分補給の代わりに、甘さ控えめの伊予柑ジェラート。愛媛県、最高です。

夏祭りと野外コンサートを楽しむ方法

 学会の後、先に日本へ来ていた妻・子供達と大阪で合流。その目的は、日本三大祭りの一つである大阪天神祭を見ることと、葉加瀬太郎さんの50歳誕生日記念野外コンサートに行くこと。天神祭は、外にいるだけで熱中症のリスクが高いため、最も暑い時間を避けて行動し、また日中はスーパーで買った「とけにくい氷」をリュックサックにいれ、いつでも子供の体を冷やせるよう準備。最も熱中症を心配していた葉加瀬さんの野外コンサートの日は、「叩くと冷えるアイスパック」を持って出かけましたが、台風12号が接近したため、夕方には暑さが和らぎ、アイスパックを使わずに済みました。

 今回の日本滞在期間、小さな子供を連れての観光は熱中症のリスクが伴いましたが、入念な準備と、塩分と糖分の入った水分補給を徹底して行うことで、家族全員無事にカナダに戻ってくることができました。ちなみに、水だけを大量に飲み続けると、体内のナトリウム濃度が低下し、痙攣を生ずる水中毒となり、重症の場合には死亡に至ります。簡単な経口補水液は、水1リットルに対して食塩3グラムと砂糖20〜40グラムを加えて作ることができます。必要に応じて甘さを調節してください。カナダ西海岸でも、まだ日差しの強い日が続きますので、まめに水分補給を行うようにしてください。また、これから日本へ行かれる方は、入念な熱中症対策を行い、楽しい旅になりますように。

 


佐藤厚

新潟県出身。薬剤師(日本・カナダ)。
2008年よりLondon Drugs (Gibsons)勤務。
2014年、旅行医学の国際認定(CTH)を取得し、現在薬局内でトラベルクリニックを担当。
2016年、認定糖尿病指導士(CDE)。

 

 

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