2017年2月23日 第8号

 「もし日本で同居していたら、もっと早く気付けたんだろうか?」「時々しか会わなかったから、変化に気付いたんだろうか?」

 自問自答しても、どれが認知症の兆候だったのかと考えれば考えるほど、その答えが出せません。

 認知症は、長い時間をかけて少しずつ進行します。早期発見により予後がかなり変わりますが、初期症状のサインを見逃してしまうと、周囲の人がおかしいと気付いた頃には、かなり進行しています。認知症についての知識がないため、兆候に気付かなかったり、初期症状を老化現象と片付けることが、サインを見逃してしまう主な原因です。

 認知症には、大きく分けて「中核症状」と「周辺症状」の2種類の症状があります。「中核症状」は、認知機能の障害で、認知機能が低下すると誰にでも現れます。脳の萎縮などで脳細胞がダメージを受けることにより、情報を「記憶」し、「判断」し、「認識」する機能が上手く働かなくなります。認知症の本質的な症状といえる「中核症状」は、「記憶障害」、「判断力障害」、「性格の変化」、「見当識障害」(時間や場所、周囲の人や状況が正しく認識できないこと)、「高次機能障害」(失語・失認・失行)、「実行機能障害」(行動のための段取りが取れず、実行できないこと)の6つに分類することができます。「周辺症状」は、「中核症状」に伴う症状で、さらに「心理症状」と「行動症状」の2つに分けられます。幻覚、妄想、抑うつ、不安・焦燥といった心理的な症状や、徘徊、睡眠障害、暴力・暴言、介護抵抗などの行動に現れます。「周辺症状」は、「中核症状」の状態、本人の性格、生活環境により異なります。

 認知症の初期の兆候として、最初に現れるのが「中核症状」です。典型的な10項目として、①物忘れが増え、同じことを何度も繰り返す、②忘れ物や探し物が増える、③慣れた作業ができなくなる、④言葉が上手く出てこなくなる、⑤場所や時間がわからなくなる、⑥身だしなみに気を使わなくなったり、季節外れな格好をする、⑦簡単な計算や仕事に時間がかかる、⑧怒りっぽく、頑固になる、⑨人格が変わる、⑩やる気や興味を失うことが挙げられます。心当たりの症状がいくつかある場合は、認知症や、認知症予備軍と言われる軽度認知障害(MCI)の可能性が考えられます。早期であればあるほど、認知症と気付きにくいため、見逃したり、誤診に繋がることもあります。

 あの時、診てもらっておけばよかったと後悔しないためにも、すぐにかかりつけ医に相談し、できるだけ早く専門医の診察を受けることが大切です。

 


ガーリック康子 プロフィール

本職はフリーランスの翻訳/通訳者。校正者、ライター、日英チューターとしても活動。通訳は、主に医療および司法通訳。昨年より、認知症の正しい知識の普及・啓発活動を始める。認知症サポーター認定(日本) BC州アルツハイマー協会 サポートグループ・ファシリテーター認定

 

 

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