2018年3月1日 第9号

 こどもに「なんで〇〇なの?」「なんで〇〇できないの?」のようにWhy Question(以下WQ)を投げかけるときというのは、ちゃんと考えて答えてほしいという親の気持ちがあります。ですが、その期待とは裏腹に、こどもからは“I don’t know”と考える一瞬の隙もなく答えられることがよくあります。WQはまるで癖のように社会で幅広く使われていますし、もちろんそれが効果的になる場合もあると思います。ですが、声のトーンを低くしながらWQするときは、効果があるどころか相手に警戒心を持たれてしまいます。特にこどもは親が低い声になったときは敏感で、そのトーンから叱られるかもと感じてしまうので、良くも悪くも自分を守れるような答え方をとっさにしてしまいます。これはこどもだけに限らず、大人も急に答えないといけない立場に立たされたときや、答えがすぐに出てこない場合は「分からない」ととりあえず答えるしかないと思うのと同じ感覚です。例え答えが分かっていたとしても、自分の答えが受け入れられないとき、相手の期待に応えられないとき、または相手から求められているものがクリアできないときに自分の思ったことを口にするのは勇気のいることです。

 『なぜ』という質問は、相手に答えや理由を求める質問と言えるかもしれませんね。それらが聞けることで一見スッキリするかもしれませんが、一旦そこで答えを出してしまうと、その答えを中心に話が始まり、それが良いか悪いかの判断になり、そこにスタックしてしまう可能性も高くなります。つまり、答えを出すということは、 他にあるかもしれない可能性を見落としてしまうこともあります。確かに答えを見つけることは大切かもしれませんが、こどもには答えを見つけるというより、考える過程の面白さを発見するお手伝いをしてあげるというのはいかがでしょうか。

 

“Why”から“How”へとしつもんの仕方を変えてみる

 親はこどものことは自分が一番知っていると思っていても、こどももそう感じているとは限りません。その温度差を埋めるには、WhyからWhat & Howに質問の仕方を変えてみて、考えのプロセスを知ることで、自分がこどものことをどれくらい知っていたかを知ることができます。例えば、こどもが『A子ちゃんとはもう遊びたくない』と言ったとします。そうすると、お母さんは『何でA子ちゃんと遊びたくないの?』と最初にWhyで聞きたくなりますが、そこをWhat⇨Howを使って 『A子ちゃんと何かあったの?』とまずWhatで聞いてみます。そうするとこどもが『A子ちゃんは他の子をランチに誘ったけど、私は誘われなかった』と答えたとします。そして、次にHowを持ってきます。『そうだったのね。それでどう感じたの? 』と聞いてみます。ここで『そうだったの。それは寂しかったでしょう』と、こどもの気持ちを親が決めないで、こどもに自分の気持ちを気づかせてあげることが大切です。こどもが気持ちをシェアできたら、こどもの気持ちに共感してあげて、またWhat & Howを使い、『それからどうしたの?』と、こどもが次にどんな行動を取ったのかを聞いてみてください。ここでも、こどもよりも一歩先に解決策へと誘導しないことは大切です。ポイントは、こどものペースで話を興味深く聞いてあげること。日頃からこどもの感じ方や考え方のプロセスに興味を持ってみてあげると、こどもに対する理解が深まり、親とこどもの距離が近くなるので、コミュニケーションが取りやすくなるかもしれませんね。 そうすることで初めて、こどもにできそうな解決策を一緒に考えてあげることができるかもしれませんね。

 

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Sunny Chung MBA, MCP, RCC, CPF

カナダ・BC 州認定心理カウンセラー。BC 州認定アドラーペアレンティング・エデュケーター。クシ・アカデミー認定マクロビオティック・インストラクター。スピリチュアルカウンセラー。アメリカで心理学学士号&経営学修士、カナダで心理学カウンセリング修士取得。10 年間アメリカ・カナダの企業でコミュニケーション、人間関係、パフォーマンスなどをコーチング。心理カウンセリングはアドラー心理学、CBT、脳科学、およびアートセラピーをもとに、世界でここしかないホリスティックなカウンセリングを提供している。また、いろいろなテーマで各種セミナーを随時開催。5月はアドラー心理学に基づいた、「子供のこころを育てる」ワークショップ開催予定。カウンセリング&ワークショップの詳細はウェブサイトから。
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