2019年5月16日 第20号

 

 名詞が動詞になることを英語では“verbify”と言うそうだ。「動詞」を意味する“verb”も名詞なので、“verbify”自体「動詞化した名詞」である。

 ここ数年で全く普通となってしまった例が“google”である。

How old is Tom Cruise? 「トム・クルーズって何歳?」

He must be close to 60. Just google it.「60に近いんじゃない?グーグルで調べればいいよ」

 今では何かわからないことがあれば「ググってサーチ」の世の中になってしまった。

My mom loves to skype me since she has a new phone. 「わたしのお母さん新しい携帯になってからスカイプするのが好きで」

 面白いのがFaceTimeやSkypeも動詞として使われるが、Facebook, YouTubeは動詞として使われない。そこらあたりの違いはマーケティングの力なのだろうか、ただ偶然に使われだしたのか、かなりディープである。

Did you see her latest post on Instagram? 「彼女の新しいインスタ投稿見た?」

I know, it’s definitely photoshopped. 「見た見た、あれ絶対フォトショップ(加工)されてるよね」

 今ではもうほぼ使われなくなってしまって、オフィスの片隅でほこりかぶっているfaxもその昔は動詞として使われていた。

We will fax the purchase order to you right away. 「今すぐに発注書をファックスで送ります」

We will email you the purchase order right away. 「今すぐに発注書をEメールで送ります」

 一時期Xerox(ゼロックス)も動詞化していた。(Can you xerox this for filing?)「これファイル用にコピーしといてくれる?」  しかしゼロックスは出版社にコピーするという動詞をゼロックスに置き換えないようにと要請して回ったらしい。そのため、今では普通にコピーを取るときはゼロックスという言葉を聞かなくなった。

Can you photocopy this document for filing? 「この文書ファイル用にコピーしておいてくれる?」

 今の時代コピーするかはデジタル化でサーバーに保管するほうが普通となっている。

Can you scan this and file it in the shared folder? 「これスキャンして共用フォルダに入れといてくれる?」

 FedExは宅急便の代名詞となっただけではなく、動詞にもなった。

He FedExed the parcel to the office. 「彼は小包を会社に送った」

He couriered the parcel to the office. 「彼は小包を会社に(宅急便で)送った」

 FedExを使っても使ってなくてもあまり気にならないようである。

 この曲なんていう曲なんだろう、もShazamすれば、すぐわかるようになった。Siriも答えてくれる。なんか便利にはなったのは確かだが、調べる時間が省かれている分、もっと暇な時間が多くなるはずなのだが、みんなますます忙しくなっているような気がするのは筆者だけだろうか?

(文 亀谷長政)

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。