2017年5月18日 第20号
北米の高校生が英語の授業で学ぶ言葉の修辞法に“oxymoron”(オキスィモーロン)がある。修辞法というと聞こえは難しいが、何かを表現するときに意味が相反する言葉(意図的であれ、無意識であれ)が用いられる際に当てはまる表現である。
例を挙げれば主題の“happy sad”。“The movie was kind of happy sad.”(あの映画、面白いけど悲しかったよね)。コメディーなんだけど、悲しい題材を扱っているような映画がいい例。これがオキスィモーロンである。日本語風に言えば、「笑える悲しい」映画になるのだろうか。(ちなみに日本語ではこの修辞法は「撞どうちゃく着語法」と呼ばれるらしい。調べるまで聞いたことがなかった…)
少し考えただけでも“a nice criminal”「良い悪人」、“a sweet sorrow”「甘い切なさ」とか、“a sad comedian”「悲しいコメディアン」とか例が思い浮かぶ。読者はいかがだろうか。
以下はyourdictionary.comで挙げら れている“oxymoron”の例である。(全部は載せていないので興味があれば検索することをお勧めする)英語で楽しんでいただきたいため、あえて翻訳はしていない。 意味を考えて楽しんでいただきたい。
Jumbo shrimp、Big baby、Least favorite、Act naturally、Painfully beautiful、Pretty Ugly、Definitely maybe、Living dead、Only choice、Virtual reality、Small crowd、Weirdly normal
このような“oxymoron”にどのような効果があるのか、なんで使うのか、どんな時に使われるのか、と言われれば答えに困るのだが、言葉で遊びたい時、違った表現で話している相手に何かを考えてもらいたい時、または、たまたま出てきた言葉が矛盾してるけど、よく当てはまっていておもしろい、というような例が多い。
また“oxymoron”の表現を誰かが使ったときに、それを指摘するのも“witty”(ウィットに富んでいる)で、英語がもっと興味深くなるに違いない。
(文・イラスト 亀谷長政)